えたんだーる さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
職業としての「冒険者」とは?
多くのファンタジー系RPGなどで、「冒険者(Adventurer)」と呼ばれる職業が設定されていて、時には勇者として世界を脅威に陥れようとする魔王と戦い、時にはダンジョンを探索してそこにある宝物による一獲千金を夢見てモンスターと戦うといったお話があります。
しかしそういった地に足の着かない話とは別に、もしモンスターが何らかの意味でその世界の住民への害をなすとすれば、それは現実における「害獣駆除」よろしく「モンスター駆除」を生業とする者が現れるはずなのです。
そしてそれらの依頼を取りまとめて、駆除を依頼する者から支払われる対価から手数料などを差し引いたうえで報酬として支払う「冒険者ギルド」が成立するのは理の当然といえます。
そんな世界の中で、自身の姉に関する極めて私的な動機により「害獣」としてのゴブリン退治を専門とし、そのための研鑽を怠らない存在こそがこの物語の主人公であるところの彼、「ゴブリンスレイヤー」なのであります。
「ゴブリンスレイヤー」という通り名はもちろん「ドラゴンスレイヤー」をもじったいわば揶揄のようなものだとは思うのですが、そんな彼の淡々とした働きこそが本人の意にかかわりなくその世界の住人の安寧をもたらしているのです。
この意味で、ゴブリンスレイヤーさんはプロフェッショナルな冒険者なのであります。
本作では作中で設定されたゴブリンの「習性」によりときに陰惨な(とはいえテレビ放送可能なレベルの)映像が出てくるわけで、人によっては観ていて気分の悪い作品だとは思うのですが、ストーリー自体は特に荒唐無稽なものではありません。
逆にいうと映像的には比較的地味で爽快感も得にくい作品であるため、事前の評判ほどには大きな人気にはつながらなかったかもしれません。
余談: 本作における職業としての「冒険者」観ですが、意外にもギャグであり対極的な作品と考えられる『この素晴らしい世界に祝福を!』と案外似ているかもしれません。いや、「だから何なのだ」という話ではありますがなんとなく…。