鰺鱒 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
二次元君に、はくしゅ
結果として、そこそこ楽しめた。
大学生の生活、恋愛事情を描くアニメ作品ってあまり見ませんね。
その点では面白かった。
中高生のトキメキ物語は完全に「こんなんだったら楽しかったのかなー」という想像と憧憬でしか見られないが、大学生活となると少なからず自分の過去と照らし合わせながら見てしまうところがあった。ってもそんなに華々しいもんじゃありませんがね。いきなり花束で殴りつけてくれるお嬢様なんていませんよ、そりゃ。
高校生よりも、実は大学生のほうが感情の発露というか、こっぱずかしい叫びって多いんじゃないかなと思うところがある。酒の力は侮れない。物語のなかで明らかに酔っているだろう描写がみられるけど。。。19歳か、、、いや、おいておこう。
主人公の記憶喪失と記憶の回復、それに伴う人格入れ替わり設定は若干非現実的な印象を持ったが、いまここに在る存在とその存在の土台となる「過去」が乖離することの怖さは十分に伝わった。お話としてはこれを全部包括してハッピーエンドとなるわけだが、もしもすべてを統合できなかったらと思うと怖い。つい最近の別の作品でも取り上げられた設定だが、この怖さは記憶を失う本人ももちろん、周囲の人々にも互いの喪失をもたらすもの。ある程度年をとったせいか、自分を形作るものは経験、経緯、関係とその相互理解だとリアルに思えるので、これらが一挙に失われる状況は恐怖でしかない。
主人公の性格付けには若干不満が残る。主人公のうじうじ気質と、言い方は悪いけれども間抜けな感じは見ていて鬱陶しかった。自分の状況(記憶の回復により現在の自分を喪失する可能性)をそこまで理解できているのならば、少なくとも男連中にはそれを開示する必要があるはず。記憶を失う前の友人たちとの再会(=高校の同窓会)を経験したのならば、なによりも自分の状況・症状を知っていてもらうことが助けになると理解すると思うのだが(逆に、なぜ同窓会エピソードを出したのか疑問。リンダを抉るだけだったらほかでも良かったはず)。まぁ、物語のエンジンをひとつ失うことになるので避けられるのでしょうが、こういう不合理な秘匿は好きになれない。
24話の長編で、かつ、登場人物が多くない割には、人物の描写が浅いかな、という印象を受けた。物語を進める上では十分だったかもしれないが、全体的に薄味な印象。むしろ24話は長すぎたのかも。
ヒロインの香子は、一週回って好きでした。特に中盤以降の「お嬢様」の化けの皮が剥がれてからは、愛すべき女性だったと思う。が、どうしてこんな子に育ったのか、いまひとつ彼女の「過去」が見えてこないせいで若干の薄気味悪さが残った。特に理由も無くあんな子になったのだとしたら、ナチュラルボーン地雷だろうに。
失った過去のアイコン、リンダは残念ながら物語の装置でしかなかったように感じた。重要な装置だし過去の出来事もそれなりに描かれていたのに、何でだろう。単純に好き嫌いの問題かも。
やなさんとおかちゃん、ナナ先輩は飛ばして・・・
個人的にお気に入りは二次元君。
彼の行動が物語を自然に推し進めた部分があったのはよかった。二次元君の友に対する感情と言葉、ある意味大学生としては子供じみた素直な気持ちは、僕が学生時代に内には持っていながらも最後まで表に出せなかったものだったように思う。回数こそ少ないけれど、要所でその気持ちを表に出してくれたことで、ちょっと救われた自分がいる、、、気がする。