STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
それなりにはきれいに締めたが
原作は未読。
「東京喰種トーキョーグール:re」(以後、reと表記)の後編ということで、主人公の人格に
関しては前編が佐々木 琲世編なら、本作は金木 研といったところ。
とにかく原作から相当削られているようで、ある程度の省略は脳内補正でなんとかするけど、
これはさすがに飛ばしすぎ。原作未読者としてはストーリーを理解するのはもはや無理。
加えてこのダイジェスト的な進み方が全体的にせわしない印象を与える。本来はもっと重厚な
作風の作品だと思うのに。
主人公が暴走したり、CCGの上層部にグールがいたりと、異能バトルもの終盤では割とベタな
展開。
あまり伏線がなく、いきなりの展開は意外性を感じさせる演出としてはそう悪いものでは
ないんだけど、その後の話の中でうまく活かされていないのか、単に唐突に出てきただけで
終わってしまった感が。
本シリーズに関しては、グールと人間が知的交流ができる生物でありながら、捕食関係であると
いう苦悩や葛藤がテーマとしてある。
この辺は現実の人種、宗教、政治体制の違いによる争いのメタファーのようで、結構興味深い
点ではあったが、話が進むにつれ希薄になっていった感がある。
こういった部分に関しては、最終章である本作においては和解して共存していくという、まあ
凡庸な締め。
ただハッピーエンドで終わらすにはこういったやり方しかなさそうで仕方ないか。
バトルものでもいわゆる勧善懲悪ものではなく、人間とグールにそれぞれ事情がある話なので、
片方が正義で、片方が悪というわけではない世界観。
それゆえに自分なんぞは人間視点の部分では人間側に、グール視点の部分ではグール側に
肩入れして観ていたりするが、結局は俯瞰的に見るとほとんどのキャラが悲しき存在に
思えてきたり。
そういった悲しき者同士のバトルが主体となるため、戦いそのものも重苦しいものが多く、
「○○が勝った!」みたい気分にはなりにくい。
そのためドラマとしての重みは増すものの、バトルものとしてのカタルシスは得にくい。
全体的には単話ではそう悪くない回もあったけど、やはり盛り上がりというのは積み重ねに
よるものが大きいみたいで、それがないから淡々と観てしまった。
そういう意味ではキャラに対してもあまり思い入れを持てなかったかなあ。
正直なところ、1期からずっと観ていたからという理由で惰性で観ていた感が強かった。
2019/01/04
2023/02/12 加筆・修正