Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
少女はむかし、自分に魔法をかけた。"わたしは幸せになってはいけない"
この作品はオリジナルアニメだったみたいですね。
P.A.WORKSさんの渾身の一作だったのではないでしょうか。
恥ずかしながら作品を完走してwikiをチラ見するまで、この作品がオリジナルとは思いもよりませんでした。
何故なら、オープニングの最初のテロップが「原作 ヤシオ・ナツカ」でしたから…
だからずっと思っていたのが、以下の「 」内です。
「この作品は作り手を選ぶ作品」
きっと作りたいと安易に考えて手を出すと失敗する作品だと思います。
タイトルにもなっている「色」をとても大切に扱う作品…
作画の綺麗なアニメーション制作会社なら他にもあると思います。
エッジの効いたシャープさが売りだったり、まるで写真の様な映像美を得意としていたり、会社にとって様々な特徴があると思います。
でも作画だけ背景だけなど、どれか一つが特別なだけじゃ許されないのがこの作品だと思います。
全てが渾然一体となり全てが調和する世界…
「色」がこんなにも綺麗だなんて…
「色」がこんなにも胸に染み入るなんて…
私にとって新しい気付きを沢山貰えた作品になりました。
そんなP.A.WORKSさんの本気…底力の一端はオープニングの映像が物語っています。
圧倒的情報量の中から絶えず顔を覗かせているのは鮮やか~淡さをうつろう、溜息も出ないような綺麗な色使い…
その中で躍動感溢れるキャラが動き出すんですからもう堪りません。
この映像美が見たくて、オープニングは毎回欠かさず視聴していました。
楽曲ともバッチリ合っていたので視聴にも気合いが入りましたよ。
物語の舞台は2078年…この物語の主人公は、高校2年生の月白瞳美。
彼女は幼い頃に色覚を失ってしまった魔法使いの末裔…
彼女は色覚を失ったせいで感情の乏しい子になっていました。
とある夏祭りの夜、瞳美の将来を憂いた大魔法使いの祖母・月白琥珀から、「高校2年生の私に会いに行きなさい」と告げられ、魔法で60年前の過去に飛ばされてしまうんです。
気が付くと、瞳美が立っているのは60年前の南ヶ丘高校に通っている葵唯翔の部屋だったんです。
勿論、瞳美はそんな事は分かりません。
分かるのは誰か知らない人の部屋の中に居る、という事と、自分が思い切り不審であるということだけ…
咄嗟に部屋から逃げ出した瞳美でしたが、その瞳美の行動は偶然唯翔の友人たちに目撃されていたのでした。
こうして波乱に満ちた瞳美の過去での生活…頼りの綱は、自分を過去に送った月白琥珀ただ一人…
そのはずだったのですが、いざ琥珀の家を訪ねてみるとイギリスに留学しているという…
嵐の中の大海に小舟で投げ出された気分って、きっとその時の瞳美の気持ちそのものだったのではないでしょうか。
ですが少しずつ琥珀の家、そして学校でも周りと打ち解けられるようになり…物語が動いていきます。
瞳美は自分の通っている60年前の南ヶ丘高校に転入し、写真美術部に入部することになります。
もともと自分の事や気持ちを言葉にするのが苦手だった彼女は、色覚を失っているのを言えず終い…
後に瞳美も実感することになるのですが、写真美術部のみんな…そんなに悪い人の集まりじゃないんです。
そんな写真美術部は5人のメンバーで構成されています。
葵 唯翔(CV:千葉翔也さん)写真美術部の中で、唯一の美術担当です。
風野 あさぎ(CV:市ノ瀬加那さん)瞳美のクラスメイトで、よく可愛い生き物の写真を撮っています。
川合 胡桃(CV:奈央ぼう)好奇心旺盛な高校3年生の眼鏡っ娘です。
山吹 将(CV:前田誠二さん)高校3年生で写真美術部の部長。面倒見がよく困っている人を見過ごすことができません。
深澤 千草(CV:村瀬歩さん)写真美術部唯一の1年生。唯翔とはバイトでも繋がっています。
月白 琥珀(CV:本渡さん)魔法で人を幸せにするのが好き。彼女の加入で「魔法写真美術部」になりました。
少し話が逸れますが今個人的に気になっている声優さんが市ノ瀬加那さんです。
勿論、石原さん、奈央ぼうに本渡さん名前を見て私に「視聴しない」という選択肢はありませんでしたが、市ノ瀬さんの名前を見て一つ楽しみが増えた気がしました。
きかっけは「ダリフラ」のイチゴだったんですけれど…
声質…声のトーンが胸にグッとくる声優さんで、これからの活躍が楽しみです。
瞳美にとって充実した日々が過ぎていきます。
そりゃそうだと思います。
魔法を頑張ろうと思える未来の大魔法使いの卵が傍にいて…
心を許し合える…苦しい時や悲しい時に一緒に泣いてくれる親友ができて…
カメラの分からないところ、撮影の分からないとこを懇切丁寧に教えてくれる先輩がいて…
過去に来て間もない筈なのに、こんなにもたくさんの宝物を手にいれたんですから、居心地の良さに加えて未練や情が溢れんばかり…
時間って…やっぱり時には残酷です。
私たちに永遠が無いように、時は過ぎゆくもの…
でも、だからこそ手の届くモノって必ずあると思います。
終盤…この作品ならではの優しさの最終奥義が視聴者を待ってくれていますよ。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、ハルカトミユキさんの「17才」
エンディングテーマは、やなぎなぎさんの「未明の君と薄明の魔法」
オープニングはアニメーションとの相性抜群でしたが曲自体も大好きです。
やなぎなぎさん…今回の楽曲は電気が走った様に全身が痺れましたよ。
ベースの音色が半端無く気持ち良い曲です。
1クール全13話の物語でした。
公式HPに「凪のあすから」の篠原俊哉監督が紡ぐ、「色づく世界の御伽噺」と書かれていますが、このキャッチフレーズは伊達じゃありません。
これがあるからアニメは最高なんですよね。
最後に一番印象に残った一言をしたためておきます。
「私の色は、何色かしら…?」