STONE さんの感想・評価

3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

骨太かつ、繊細な印象

　原作は未読。
　ストーリー自体は少女漫画らしからぬ骨太な内容がなかなか見応えがあった。
　更に主軸となるアッシュ・リンクスと奥村 英二を巡るキャラクタードラマも良く、この二人の
関係性に関しては友情や愛情といった一言では言い表せないものを感じる。
　作中では多くのキャラがアッシュに惹かれていったり、逆に憎悪していくが、視聴者としても
とりわけ目を引くキャラといった感じで、その美しさと危険がが野生動物を彷彿とさせる。
　アッシュの最終的な去就は悲しいものだったが、あの最後の顔を見るに精神的な幸福感は
ようやく得られたのかな？という感じ。そういう意味ではある意味、ハッピーエンドでもあるのか。

ジャンル的にはアクションものの範疇に入るのだろうが、アッシュが攻めに転じる展開は少なく、
アッシュが苦悩する鬱々とした状況がやたらと多い印象。
　私見だが、アクション要素のあるような内容でも女性作者の作品は、主人公の活躍による
カタルシスよりキャラ達による深いドラマ性を重視ししている作品が多い印象があり、本作も
そんな感じ。
　これまた私見だが、このキャラを深く描くスタンスのためか主人公と対峙するキャラも単なる
悪人ではなく、出自や環境による悲劇的存在として扱われることが多い印象で、本作だと
李月龍などはその典型といった感じ。
　中途までは単なるクズ的な印象だったディノ・フランシス・ゴルツィネや
フレデリック・オーサーでさえ終盤では単なる悪人とは割り切れないような描かれ方だったし。

　アッシュを中心としたキャラクタードラマとしては見応えがあったが、長尺の原作を2クールに
収めるにあたって、「かなりの部分を削ったのかな」と思わせるものがある。
　キャラ描写に関しては「アッシュと英二に時間を割いた分、他のキャラの描写が
減ったのかな？」といった感じで、他のキャラに関しては主要キャラであっても、あまり深みが
感じられなかった。
　展開も後半は捕まっては逃げての繰り返しで単調に感じることも。これも「原作はその間に色々と
あって、単調には感じられないのだろうな」と思ったり。
　あと尺の問題とは別に作品の時代設定を現代に持ってきたのはやはり色々な部分で無理が生じて
いたような感があった。

2018/12/30
2020/12/01　追記