「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない(TVアニメ動画)」

総合得点
95.2
感想・評価
1847
棚に入れた
7832
ランキング
3
★★★★☆ 4.0 (1847)
物語
4.0
作画
4.0
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

青春ブタ野郎は湘南で奇跡の夢を見る

全13話で描かれたのは、神奈川県藤沢市在住で
藤沢駅から江ノ電で20分。七里ヶ浜駅下車徒歩3分ほどの
峰ヶ原高校(七里ヶ浜高校がモデル)に通う
ある高二男子とその周りのヒロインたちが繰り広げる
2014年5月6日から12月2日までの7ヶ月の出来事がメイン。
(劇中、年は明示されなかったが、
5月25日が日曜日、6月28日が土曜日と明示されたので、
原作小説の第1巻の刊行年でもある2014年が時系列で間違いないだろう。)

主人公の妹プラス、四人のヒロインの計五名。
そして、彼女たちに降りかかった思春期症候群と呼ばれる
架空の問題の解決に奔走する主人公の話。

一過性の病扱いの、その症候群とやらはあまりにファンタジー。
現実味に乏しいその症状はツッコミ所が多い。
しかし、それを補って余りある感情移入の巧みな台詞と
優れた声優の演技に魅せられた。
伏線も織り込まれた脚本で、
毎回次回が非常に楽しみな作品だった。

❬このアニメは軽妙洒脱な会話が素晴らしい❭
全ての台詞に意味があり、優しさ、悲しさ、切なさなど
様々な想いがストレートに伝わる。
最終話は、切ない喪失感を主人公と共有できて自然に涙が滲んだ。

ヒロインたちは、弱さ、可愛いさ、悲しさ、逞しさが
バランス良く丁寧に描かれ非常に感情移入しやすい。

主要キャラの台詞の軽妙なキャッチボールが
可笑しさを醸し出すことも多く終始心地良かった。

また、主人公の一途な誠実さと
正妻ポジションヒロインの器の大きさのおかげで、
青春ものにありがちな、ウジウジしたり
ドロドロした面倒な恋愛色が希薄だったのも評価したい。

特に4話から6話に掛けて描かれたエピソードは、
後輩相手にからかう彼の台詞が冴えわたる。
そこで描かれる恋愛は、
青春時代に相応しい甘酸っぱくも後味の良い展開だった。

❬主人公、梓川咲太の魅力❭
この作品は、問題から決して逃げない男らしさと、
本物の優しさが輝く主人公像が素晴らしい。
17歳設定としては、年齢不相応な内面の成熟さが
不自然に感じられなくもないが...
{netabare}
部活は無所属。
友人は量より質がモットーで、
友と呼ぶのは一生付き合う覚悟が持てる相手のみ。
そのため物語開始当初、友達と呼べる存在は二人。

その友の一人曰く、彼の良いところは、
「ありがとう」「ごめん」「助けてくれ」を言える所らしい。
つまり、素直で率直な、裏表のない人柄なんだろう。

一方、シニカルでデリカシーのない失礼な発言も多い。
変態ストレートな発言も呼吸をするように自然に口にする。
それで、周りからブタ野郎と呼ばれること多し。
高校生だから許されるのであって社会人なら
セクハラで訴えられてもおかしくないレベルだろう。
しかし回を追うごとに愛情豊かで面倒見の良い彼の人柄が見え、
個人的に彼の株は上がる一方だった。

彼の数多くの下衆っぽい発言は、
時には照れ隠しにも見える。

毎回毎度お馴染みのそれに滲み出るは、
品性の嫌らしさより、誠実さや思いやりだ。

そのため彼のそれは、ボケやツッコミ程度のものにしか
段々と感じられなくなった。
さらにそれは、ヒロイン達が彼に対しては、
リラックスして本音で会話するための潤滑油にもなっていた。

また咲太は、人間観察力に非常に秀で
人の心を読み解くのが得意。
しかも、彼にとって大切な相手には献身的なのだ。
さらに好きな異性にはぶれない一途さがある。

高校生なのに細やかな配慮に富んだ言葉尽くすことが出来、
時には勇猛果敢な勇者の実行力も発揮できる彼。

特に、惚れた麻衣に1か月欠かさず「好きだ」を言い続け
さらにだめ押しで一生添い遂げたいと
照れも臆面もなく言える彼は尊敬に値する。
{/netabare}

❬最終話の続き、12月から翌年1月上旬までのエピソードは映画でのお楽しみ❭
未読だった原作は、アニメが終わってから読み始めた。
劇場版に相当するエピソードから読み始めたが、
テレビシリーズと同時に企画されたのも非常に納得の内容だった。
これ抜きで青ブタは語れないと思う。
{netabare}
TVだけでは、咲太を支えて、彼を成長させた恩人でもある
6番目のヒロインと彼の胸の傷の謎は残ったまま。

6.「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」
7.「青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない」

以上のシリーズ6巻目と7巻目は、タイトルは違えど、
エピソード上は同一で前後編相当、切り離すべきでない
と言っても過言ではないと思う。
ゆえにこの二冊から続編となる映画を制作すると思われる。

以上二冊の原作を読み終えて、
実はこれが本編で、TVシリーズの1話から13話までは
そのための序章であり壮大な前ぶりに過ぎなかった、
とさえ思えたほどのシリアスなドラマがあった。

今迄のエピソードの積み重ねを踏まえてこその
大いなるカタルシスが得られた。

そのため、レビュータイトルはあえて映画で描くであろう内容と
その結末を暗示させるものにした。
本来は映画版のレビュータイトルにすべきものだが、
まだ観ぬ未来の作品に期待を込めてTV版のタイトルにさせていただく。

人生、晴れの日ばかりでないが、
台風一過の後には気持ちのいい青空が待っているとも言える。

キャラクターを等しく愛で、
必ず幸せにする神の手(原作者)は有難くも偉大である。
{/netabare}

2019年公開の映画が非常に楽しみだ。

投稿 : 2018/12/30
閲覧 : 359
サンキュー:

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