101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
このラブコメの波動がやがて世界を変えるのか!?
原作コミックは未読。
二つの敵対国家同士。その狭間で両国出身者が共に通う寄宿学校。
白猫の寮VS黒犬の寮との間でいざこざが絶えない両国対立の縮図。
そこで白猫の少女ジュリエット・ペルシアと黒犬の少年・犬塚露壬雄(ロミオ)
高1のトップ同士が恋仲ともなれば、まさに波乱と禁断の極み。
周囲を巻き込みつつ、ギャグも交えたドタバタトラブルを起こす台風の目。
ところが本作の“ロミジュリ”は
有象無象の分断の壁に恋を阻まれても人生を諦めません。
それどころかこんな世界なんて変えて見せる。
二人が普通に会える世の中にする。などと大変鼻息が荒い。
その割に、恋愛事に疎いお二人は、デートだの、プレゼントだの、
初歩的な段階でしどろもどろになる所が実に微笑ましいですw
世界をどうこうするだの言う前に、
例えば、{netabare}黒炭じゃないお菓子の作り方とか、盆踊り?じゃない社交ダンスとか、{/netabare}
その辺りの土台から整えた方が良いのでは?
と最初は恋愛から世界変革など夢のまた夢と高をくくっていました。
それでも無茶を繰り返す内に、
巻き込んだ周囲から影ながら徐々に理解と協力が芽生え始め、
小さな一歩ながら主人公少年の言動等が周りを変えていくため少しずつ具体的になって行く。
大義のためならロミオだって股をくぐる覚悟が決まって行く。
若気の至りで先に突っ走った夢に、
時にご都合主義的に運をも引き寄せつつ、現実が後から渋々追い付いて来そうな気配。
眺めていて若いって良いのぅ~とジジ臭い感想が浮かんで来て頬が緩みました。
とは言え変化のレベルは世界にはまだまだ遠く及ばない。
学園どころか学年レベルの極々小さな波。
それでもラストまで観て、この波がやがて大人社会と衝突する痛快を見てみたい
という希望が沸いて来ました。
両国の大人たちの中には対立を煽る強硬派もいるでしょうが、
一方で、わざわざ両国生徒を共に学ばせる場を作って、
次世代から融和ムードを画策した穏健派もいるはず。
時が満ちるのは当分先でしょうが、
この恋の秘密……いつか大人たちにも是非、暴露してみて欲しいです。
そんな中、好きな……と言うより応援したくなるキャラは狛井(こまい)蓮季(はすき)
どーせメインヒロインに負けるであろうサブポジションの黒犬の女子生徒。
露壬雄がペルシアに恋する気持ちに気付いても尚、
彼を大切に想いサポートしようとする姿が健気で、
露壬雄もこんな良い娘をほっとくなんて酷いぞw
といった感じで、つい判官贔屓したくなります。
恋で劣勢でもボーイッシュヒロインのキャラポジションは安泰だぞ。
……と思いきや、そこすらも“ジュリ男”に脅かされる不遇ぶりw
いたたまれなくて頭とか撫でてやりたくなります。
あと、個人的に特別功労賞を贈りたいのは白猫の寮のおばさん。
{netabare}消し炭同然だったペルシアのクッキー作り改善に連日付き合い
試行錯誤と毒味wを繰り返した末に食えるお菓子の完成に導いた献身ぶりに拍手。
ご本人は無自覚でしょうが、少年少女の秘密の恋に最初に協力した大人として評価したいです♪{/netabare}