おぬごん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
熱い円谷リスペクトで童心に帰らせてくれた
1993~1994年に放送された円谷プロの特撮作品「電光超人グリッドマン」を原作としたアニメ
「グリッドマン」は90年代前半にあって、コンピューター世界を舞台にした超前衛的な作品でした
また同じ円谷プロのウルトラシリーズとは違う、主人公サイドも悪役も少年少女(原作では中学生)という設定も特徴です
~私とグリッドマンについて(本編関係ないので折り畳み)~
{netabare}さてこのグリッドマン、両親に「あんたと言えばグリッドマン」と言われるくらいには大好きだった"らしい"作品ですw
今でも実家の押入れの中には30cmくらいのグリッドマンとそれに合体させる変形メカの玩具や、怪獣アノシラスのソフビ、読み過ぎてぐちゃぐちゃになった怪獣や必殺技が全部載ってる本が眠っているはずです
ただ上で"らしい"と言ったように、放送当時私は3~4歳だったのでほとんど覚えていないんですよねw
ウルトラシリーズは色んなビデオや関連書籍が出ていて再放送・続編も多かったため子供の頃に繰り返し見直したので今でもよく覚えていますが、グリッドマンは続編も無かったため物心ついてからの「復習」ができなかったんですw
この作品は主人公の響裕太が記憶喪失状態で目覚めるところから始まりますが、私自身も失われた幼少時の記憶を取り戻すような感覚でこのアニメを視聴していましたw{/netabare}
1話当初は独特の気取った演出でやや懐疑的に見ていたのですが、戦闘シーンが始まった瞬間に印象が一変しました
説明しにくいのですが、ウルトラシリーズファンなら一目で「スタッフめっちゃウルトラシリーズ好きだ!!」と分かるくらい、戦闘シーンの端々から円谷臭がしたんですよねw
まあ好きっていうかウルトラシリーズのスタッフがかなり関わっているんですが、画面から愛が伝わってくるんですよ!
その後もグリッドマンのパワーアップやメカとの合体などの王道展開で作品自体のテンションを保ちつつ、
アカネの家のソフビなどのウルトラシリーズネタ、6話での原作とのリンクなどの作品愛に浸って大変楽しめました
終盤はややドラマチックな展開にしすぎて雑になった感じもありましたが、最終回では原作のOPとともに原作の姿のグリッドマンが登場する胸熱展開に、ウルトラシリーズのクライマックスへのオマージュが詰め込まれていて感動しました
実写(現実)に繋げるラストは賛否両論…というか批判が多いですが、「グリッドマン」ならではだったと思います
「アニメ」で描かれたあの世界は、アカネがストレス発散にコンピューター上に作り出した世界だったんですね
アニメというデジタルな世界であることを生かし、アニメだからこそできることを描き、そして何より円谷愛に満ちたこの作品、私としては非常に満足でした
ただ、原作を知らない人たちがちゃんと楽しめたかは疑問だったりします
クライマックスに出てくるのが今までアニメでは(Blu-rayのCMでしかw)見たことのないシンプルな姿のグリッドマンというのは、納得いかない、燃えないと言われても仕方ないかなあと思いますし
この作品は原作グリッドマンやウルトラシリーズを知らない幅広い層に受け入れられるよう作られているそうで、実際にかなり話題になったわけですが、その要因としては
1.少年たちが毎回登場する怪物を倒すというエヴァから続くロボットモノの王道展開
2.グリッドマンがややロボットっぽい見た目・設定であること
3.六花とアカネの可愛さ・エロさ
4.考察しがいのある設定
などがあるかと思います
エヴァ自体がウルトラシリーズの影響を多分に受けた作品ですので、1周回った感じですねw
ただ特に後半は原作の設定を前提とした展開が続いたので、初見勢ついて行けたかな~?と思ったり、原作やウルトラシリーズへのオマージュも多かったため、結局は原作ファンしか(真に)楽しめない作品になっちゃったのでは?と思ったり…
この辺は同じく初見勢にウケつつ原作オマージュに溢れた『シン・ゴジラ』とも繋がるかな~と思ったりします
「初見勢、お前らにビルと電車でゴジラを倒す感慨が分かるか!?」みたいなw
(shino73さんがレビュータイトルで「シンウルトラマン」と表現してましたが、ピッタリだと思いました)
まあ私は勇者シリーズやトランスフォーマーを知らず、そっちへのオマージュはさっぱり分からないので偉そうなことは言えないんですが
長くなりましたが、私にとっては童心に帰らせてくれた素晴らしい作品でした
この作品、元々はウルトラシリーズのアニメ化を円谷プロに打診して断られたところからスタートした企画だそうです
したがって難しいのは承知ですが、いつか『ウルトラマン』のアニメを見てみたいですね…『ULTRAMAN』ではなく…
~余談 ウルトラシリーズへのオマージュについて(長いので折り畳み)~
{netabare}上でもちょっと触れたウルトラシリーズへのオマージュについて、思いつく限り語っていきますw
代表的なのはまず、アカネの部屋のソフビでしょうか
背景や会話シーンに挿入する形でアカネのコレクションが数体映るんですが、そのラインナップがその回に登場する怪獣の特徴に合わせてあるんですよね
その回の怪獣が円盤型ならシルバーブルーメ、ノーバ(レオ)やアブドラールス(80)、ロボ怪獣ならキングジョー(セブン)やインペライザー(メビウス)といった具合に
これを見つけて探すだけでもかなり楽しかったですw
6話のアカネと内海の会話はウルトラファンそのものでしたwww
アカネ「レッドキングは三代目の造形が良いんだよね」←分かる。レッドキング三代目は80に登場、かなりマイナー
内海「レッドキングって赤くないよね」←動揺(?)した内海、探りを入れる
アカネ「パワードに赤いの出てたじゃん」←赤くない理由は諸説あるので模範解答。「血を好むからレッドキング」の後付け設定は不評
アカネ「怪獣が出ない回は邪道」←実質セブン名指しwww この回自体へのメタ
アカネ「怪獣は主役」←わかる
アカネ「怪獣がやられ役扱いされてるのは不満」←わかる
内海「俺はヒーローも怪獣もどっちもすき」←わかる
8話の内海の「お前は感情でしか考えられないもんな」は女性キャラを感情面でのブレーキにする展開への視聴者目線のメタ発言ですね
感情論で戦いを止めたり敵にトドメを刺すのを止める→敵が改心の展開ならいいですが、敵が反撃したり女が人質になったりしたら目も当てられませんww
ただウルトラシリーズの女性って大体強い心を持っているので、足手まといになる印象は無いんですよね
ハリウッド映画や少年漫画、時代劇に多い印象ですw
最終回はウルトラシリーズのクライマックスへのオマージュが散りばめられていました
・アカネ怪獣形態の造形(どことなくティガのガタノゾーアっぽい気が)
・真剣白刃取りからの刀折り(80、ガルタン大王戦)
・キラキラの背景(セブン、最終回のアンヌへの告白)
・ヒーローとの分離、ヒーローとしての記憶の喪失(初代マン最終回)
私が気付いたのはこれくらいですが、他にもあったかもしれません
他にもあるよ!っていう人がいたら、ぜひ教えて下さいw
{/netabare}