明日は明日の風 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
奇想天外な発想のご当地アイドルアニメ…オンオフが完璧な良作
アイドル系のアニメはあまり興味を引かないのだが、これはどハマリでした。とにかく面白かった。
佐賀を舞台とし、アイキャッチで佐賀の魅力伝えたかと思えば、巽がかなりきつくディスってしまうというところもミソ。ご当地アニメらしく、しっかりとしたロケーションを組んでいるのが伝わり、とても好感が持てました。
1話冒頭で主人公が車にはねられるという、かなりショッキングなスタートをします。個人的で申し訳ないが、あのシーンはリアルでかなりショックでした。小学生のころ、従兄弟がまさにそれで亡くなっていて、そのあとの姿を見ているので…。
物語は前半がフランシュシュの結成からグループがまとまっていくまでの流れ。後半はキャラそれぞれの物語に視点が置かれました。時おり記憶を失っているさくらがフラッシュバックのように生前のことを思い出しながら、最後にまとめて大団円にもっていく流れです。
特に好きな回は6、7話の純子と愛の話。
{netabare}昭和アイドルの純子と平成アイドルの愛がそれぞれの時代のアイドル論を戦わし、時代の違いをまざまざと見せたかと思うと、巽がアイドルの真を突いてしまうところも面白い。純子のシーンにはわざわざ昭和っぽい演出(海シーン。「水着持ってない」のモブセリフ、砂に書いた文字が波にさらわれる、帽子が風に運ばれるなどなど)加えるところが心憎い。
話自体も本当によくできています。二人の対立、純子の立てこもり、愛のトラウマ、純子の立ち上がり、雨のライブ、トラウマの払拭、大団円。これが最終回でもいいくらいの出来だったと思います。{/netabare}
純子は83年に亡くなっている設定だけど、時期はずれるがどうしても岡田有希子がオーバーラップしてしまいます…亡くなり方も違うけど、アイドル中のアイドルで、これからどう成長していくのだろうかというときの死。あの死は本当にショックでした。純子のキャラデザ、どことなく似せていたのは気のせいだろうか?
この作品は物語の面白さはもちろんのこと、とにかくキャラの設定と置き方が抜群に上手いと思います。主人公のさくら、リーダーで伝説の特攻隊長サキ、伝説の平成アイドル愛、伝説の昭和アイドル純子、伝説の子役リリィ、伝説の花魁ゆうぎり、伝説の…たえ。亡くなった時期も違うし(さくらと愛はほぼ同時期)、性格もバラバラ、後半でキャラたちの生前のことやトラウマなどを振り返り、よりメンバーたちが成長していくというところも良いと感じています。
また、謎だらけなのも視聴者の欲求を擽るポイントだったかと、なぜゾンビなのか、蘇らせた目的は、どうしてこのメンバーなのか等々、けっこう置き去りにして終わっているのですが、どう頑張っても二期がないとモヤモヤ感がいっぱいです。それと、ゆうぎり姐さんの公式プロフィールの謎。文久3年生まれで幕末に絡むわけがない。だって明治元年はゆうぎり5才なんだよね…。なにか裏がありそうでモヤモヤ。二期待ってます。
OPの「徒花ネクロマンシー」は今季最高のアニソンとしか言いようがない。懐かしの熱いヒーローものっぽさは年齢高めの人に受けたかもしれません。中の人についてはやっぱり巽(宮野さん)。シュタゲゼロで倫太郎を抑えてしまっていた分、爆発したかのような暴れっぷり。かと思えば、しっかりイケメンボイスで伝えるところもニクい。作画も良いです。
アイドルものは苦手という人にこそおすすめしたい、本当に良くできた作品だったと思います。