ツークツワンク さんの感想・評価
2.7
物語 : 1.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
尺の使い方が下手過ぎる
魔法、タイムスリップ、色が見えない、美術部兼写真部。
なんか色々感動しそうな要素がてんこ盛りだ。
魔法という設定なのだが、鑑賞用の優しい魔法だけかと思いきや、学校の天井や備品を破壊するレベルの凶悪なものがあり、少人数と思われる魔法使いへの差別や魔法を使った最終戦争に発展しないのかという疑問が気になる。
しかし、P.A.のファンタジーに細かい設定を期待してはいけない。「凪のあすから」もそうであったように、あくまで人間ドラマがメインなのだろうと思うことにした。
1話辺りの体感時間がものすごく長く感じるのだが、物語が平坦過ぎて事件や問題といった山場が一切無いためだと思う。その割に丁寧な人間の心理描写をしているかと思いきやそうでもなく、キャラの魅力が伝わってこない。
単なる部活動の垂れ流しと風景描写の長さで尺を取ってしまい物語が動かないのである。
6話を超えた辺りから明確に三角関係や、それぞれ抱える問題の提示が始まることで盛り上がりを見せるのだがいささか遅すぎた。
後半の尺の都合上、感情のすれ違いが起こってから数話かけるなどのタメを行うことができず、1話の中で心変わりを起こすため視聴していて急すぎる展開に違和感を拭えない。
困難や障害を乗り越えて恋愛感情が芽生えるエンタメではなく、一目ぼれしてなんやかんや気になって恋に落ちるというリアルな純文学的作品を作りたいという意気込みは分からなくもない。
けれども、心情描写や感情表現の技量がその理想に追いついておらず、物語として全く面白くないのだ。
絵の世界の幻想的な描写は目を惹かれる部分もあり、魔法というギミックや時を超えた出会い、色の無い世界など美味しい素材だらけにも関わらず、このような出来になってしまうのが残念で仕方ない。