101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
創造する少年少女が世界を切り取る
原作ゲームは未プレイ。
あらすじ
クリスマス……
{netabare}高校生でプロ少女漫画家の少年は路上でひったくりを追う少女と出逢う。
心を震わせる映像を撮ろうと感性を研ぎ澄ませる高校の映研カメラマン兼監督の少年は、
街中でみかけた少女に理想の被写体を見出す。
小説家への願望を燻らせたまま高校の進路調査に迎合しつつある読書家の少年は、
心の平安を保つための避難所にしている無人駅で、眼帯の少女と四十五秒未満の邂逅をする。
その少女もまた小説創作の意欲があるようだが、彼女はある問題を抱えていて……。{/netabare}
三組三様の少年少女たちが時に修羅の三角も形成しつつ、
恋愛模様などを展開していく群像ドラマ。
恋をすれば世界が変わる――
青春物では定番の主観的な風景描写ですが、
本作では、そこに漫画、映像、小説……。
少年少女たちが抱く葛藤のアウトプットとしての創作活動が加わります。
少年少女たちは当然、創造主ではありませんから、
周囲の街や世界から題材を得ようと感性の刃を向けていくことになります。
恋バナがこじれた故に応酬される美少女同士の毒舌もアブナイですが、
私はそれと同じかそれ以上に、
若くしてプロの創作活動を知る漫画家少年と、
純粋に心を震わせる一カットを撮りたい映研少年。
二人のクリエイター論の衝突にもドキドキさせられます。
ここに至っては世界を客観的に描くことなどほとんど意味を成さない。
そう言わんばかりのシャフトの作画は、相変わらず角度等が独特ですが、
彼ら彼女らが捉えた世界の断片を強調する作画演出は切れ味抜群。
異論もあるでしょうが、シャフト作画と本作の世界観には相性を感じます。
少年少女の純情と創作意欲から来る鋭い眼差しに曝されて、
世界は……少女たちは……一体どうなってしまうのでしょうか?
そして流れて来る、純化した心情を直に投げつけて来るような
刺激的なBGM&主題歌の数々……。
これは魔王降臨に匹敵する世界の危機だ。
そうおののくのは流石に感化され過ぎでしょうか?
ともあれ受け止める際には、前衛的なアートで脳天を殴り付けられる位の衝撃は覚悟したい。
芸術性も感じられる青春恋愛ドラマの逸品です♪