ecot さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
原作既読です。
アニメオリジナルエピソードが多いですね。私は好きです。ただこれでこれから、傑作にも、超駄作にもなりうると思います。年明け以降の後半戦が楽しみでもあり怖くもあり…。認知度が低いのは本当に残念。
【2019/03/12追記】
通常文庫版にほぼ同サイズのアニメ版の帯のかかった、期間限定版の原作本を買ってきました。(帯の裏にはニラ視点の短い小説も載っています)
最初の感想でわかったようなことをいってますが、原作の内容を結構忘れていました。
そんななかでもわかったアニメオリジナルシーン。19話の王子の箱根駅伝の1区を数々の漫画の名台詞や主人公達を思い出しながら走るのは、ナイス改変ですよね。オタクな私としては親近感が持てて、知ってるあのキャラのシルエットには嬉しくなっちゃいます。
そして最後、ハイジのありがとうに「合格!!」と叫ぶシーン。初めは何といったか、実は私はわからなかったんですよ。でも2度目の視聴でそれがわかった瞬間、じーんときてしまいました。ちなみにここは原作では『つぶやいた』になってます。これもアニメ版の王子に合わせたナイス改変、そして声優の入野さんと音響さんのグッジョブだと思います。
これからアニメ放映終了シーンまで読んで、改変だったか原作通りだったか答え会わせして楽しんだり、アニメ版の意図を勝手に推察してみたいと思います。
【2019/03/15追記。この先、原作のネタバレがあるので注意!!】
21話ははじめてちょっとがっかりした回でした。
ユキの母親の再婚がデキ婚になっていたのがイヤでした。多感な高校時代に、さすがのユキでもキツすぎる。
原作ユキの義父を嫌っているわけでもない、憎んでいるわけでもない、でもどうしようもなかったわだかまりが、家族の関係の「いい」か「悪い」の二元論では言い表せない複雑さや難しさを透かしみている設定で好きでした。
そして、家族が応援してくれる姿に、義父や家族へのわだかまりの溶解。
これから新しい家族の形を受け入れ、徐々に慣れていくだろうというのが、容易にイメージできました。
でも私は、アニメではわだかまりの溶解まではイメージできません。アニメ版はそれでいいと制作者は判断したのかもしれませんが。
ニコチャンが走る喜びを謳歌しているのは、原作以上に感じてとてもよかったと思います。
【2019/03/30追記。最終話について】
ハイジが豊永利行さんでよかったという声はよくききますが、父親への呼び掛けからのハイジの独白は、私がハイジがこの声優さんでよかったと思ったシーンです。裏切られた、手放したと思っていたものが、帰ってきた喜びを高らかに謳っている。そんな演技に感動を覚えました。
エピローグは小説そのままだと映えないだろうな、どうまとめるんだろうと少し不安もありましたが、見事でした。
走とハイジ、二人の主人公、そしてアオタケ10人のエピローグになっていました。寛政大学長距離陸上部の存続もアピールしつつ、ニラがパパになっているというほほえましいサプライズもあり、それでいて美しく整理されてまとまっていると思います。
【2019/4/28追記。風強ロス、心の叫び】
前の方で「傑作にも超駄作にもなりうる」とか書きましたが私の中では傑作、名作といえる作品になりました。年明けからの後半戦、こんなにハマるとは思わなんだ。
●キャラクターは、アニメの方が好きです
これは当然なのかも。グッズを作って売らないといけないわけですから(笑)
ハイジの年相応の若さ、ムサのかわいさ等、絵があり、動き、声がある、アニメの特性を生かしたキャラ作りを感じます。
●私が中学生だったら、ハマらなかった
「努力することは尊く、大切だけれども、どんなに努力してもどうにもならない事もある」みたいなことがわかってくるようになって、思い入れが持てるキャラやエピソードが多いのではないでしょうか。(個人差は大きい部分とは思いますが。私が中学生の頃は何も考えてなかったからなぁ)
●素人が箱根駅伝に出場するという事のリアリティのなさ
原作発表時から言われていた、この作品の最大の弱点です。私自身は「別にいいじゃん面白ければ、そんな細かい事」と思うのですが。アニメは、そのリアリティーのなさは小説以上に目立っています。特に王子のあのフォームの悪さはそれに拍車をかけています。(けど、あのフォームも含めて王子は王子なのだと思う)
●恵まれなかった「初動」と「視聴数」
「良作」「佳作」と言われている作品なのに人気がイマイチなのは、多くの方の感想やレビューを読んで考えると、序盤で作品の弱点や欠点が目立ってしまった為だと思います。
まず前述した素人が箱根駅伝に出るに加え、走の万引きや、ハイジの強引でサイコパスともいわれた行動に、悪印象を持った人が多かった。(小説の面白さを引きずっていた為、私は全然気にならなかった)走の万引きは改変してしまうのはどうかと思うし、ハイジにいたっては、序盤以降に走る事への思いの深さや自身の行動への葛藤を描き、魅力的なキャラクターを作るため、ひいては物語に深みを持たせるために必要な要素ですらある。
あとキャラデザが、ハイキューに似すぎているのも悪印象だった人や、三浦しをんと聞いてBLっぽいだろうと敬遠した人もいたのでは?(だからといって腐女子に受けた気配もないし)
ぶっちゃけDVDに手がでない私としては、公式ファンブックを出して欲しいんだけど、どうなんかなぁ…
アニメ「風が強く吹いている」が爆発的な人気は得られなくても、原作同様末永く多くの人に愛される作品になりますように。