STONE さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
血、血、血
毎回ある、古きものとのバトルが印象的。スピーディーで動的な戦いであるの
だが、深夜に無言で戦うために、印象はむしろ静的だったりする。
この戦いは血が飛び交う残虐性のあるものだが、美しさも感じさせる。
小夜のやられっぷりも凄まじく、見ていてSっ気が増してくる(笑)。
この戦いは回を追うごとにエスカレート。古きものは白昼堂々と現れるように
なり、当初は小夜との戦いだけであったのが、地域住民も犠牲者になり、更に
レギュラーキャラも次々と殺されていく。
それに伴い、残虐なシーンも増加。最終回に至っては殺戮のオンパレードで、
友成純一の「獣儀式」を思い出してしまった。
そうなると規制も増えるわけで、これは製品版だと消えるんだろうけど、視聴
している分には結構うざい。
こうしたバトルシーンにおける加速度に較べて、ストーリー展開があまり
進んでいかない。
作品全体の謎の解明は、結局は小夜の思い出し待ちみたいなところがあって、
その歩みは遅々としたもの。そのため終盤に至るまでは毎回同じようなことを
やっているような印象を持ってしまった。
この展開で「勿体ないなあ」と思ったのは、小夜のクラスメイトが殺されて
いく展開。
アニメに限らずだが、キャラの死に関しては、キャラが主人公と深い関係性を
持つことで、視聴者もキャラに思い入れを持つようになり、そうして視聴者と
感情共有されたキャラが死ぬことによって、インパクトを与えることになると
思うのだが、この作品に関しては小夜とクラスメイトは一緒に授業を受けたり、
お昼を食べる関係でしか無かったりする。
そのためいざクラスメイトが殺されても、それはシーンの残虐さに関する
インパクトだけであって、それ以上のものはあまり無かった。結局は単なるモブ
キャラの死とあまり変わらなかった印象。
ストーリー中盤から、謎が次第に明かされていく展開で、小夜とクラス
メイトの関係に変化があったら、クラスメイトの死ももう少しインパクトの
あるものになったのでは?。
ただ、それまで展開が無かった分、終盤で一気に謎が明かされることにより、
ストーリー性にインパクトがあったのも事実で、展開に関しては一長一短と
いったところかな。
終盤の謎の解明に関しては、「ああ、なるほど」といった印象。
「あれだけ地域住民が得体の知れない存在に殺されて、なんで問題に
ならないの?」といった視聴中に感じていた疑問が氷解していった。
ただ、別の疑問は残る。「視聴者が感じていた疑問を、何故小夜は
持たなかったのか?」ということで、小夜が自身のことを思い出しそうに
なると、再び記憶の封印が行われていたようだが、この田舎町での行動は
そのままだったはず。そうなると前述のような疑問を小夜が持っても
おかしくないとは思うのだが。
おかしかったのは小夜に真相を語るシーンにおいて、「皆が珍しい名字」、
「田舎町に洗練されすぎた制服」などを突っ込む展開があるが、これって
既存のアニメ作品に対するツッコミでもあるよね。
この作品、話途中で終わっており、続きは劇場版でということになっている。
おそらく小夜の七原らへの復讐が話の中心になるだろうと思う。
復讐の根源となる感情は、自身をこういった状況に貶めたことにもあるの
だろうが、それだけでなく父やクラスメイトの敵討ち的な心情もあるみたい。
これらは偽りの町における、偽りの設定なのだが、一度感情共有して
しまうと、それは小夜にとっては本物であるのだろう。
そういった意味では、七原が言っていた「人は変われるのか?」といった
部分に関して、小夜は何かが変わったのだろう。
中盤において、人語を喋る犬が、「対価と引き換えに願いをかなえる店」を
語るくだりがあるが、これって「XXXHOLiC」の壱原侑子の店のこと?
CLAMP作品に関して、「XXXHOLiC」と「ツバサ-RESERVoir
CHRoNiCLE-」がリンクしていたりしたが、この作品もCLAMPワールドの
一つとしてリンクしているのかな?。