askima さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
恥ずかしい程の共感と、見守りたくなる親心と。
自分の中では中学の恋は手探りで、相手の一挙手一投足に胸を躍らせて、不安やヤキモチ(ここでは嫉妬とは言わずにおこう)、駆け引きや後悔といった、今の自分を形成している大切な思い出。
大人になって忘れていた懐かしい感情が、主人公の小太郎くんから恥ずかしい程に感じられた。まさに共感である。
作中で彼がLINEの返信で彼女から嬉しい返事があった時に、電気の紐相手にシャドーボクシングしたり、ベッドでジタバタするのである。正直、こんなにも間の抜けた事をするのは自分だけだと思っていたが、男性共通なのだろうかと驚いた。
(当時はガラケーにメールだったので、若干違うが。)
ヒロインの茜さんは可愛らしく大人しめで恥ずかしがり屋な陸上部員。文学少年の小太郎くんとはクラス替えで接点ができた。
個人エピソードで恐縮だが、これも子供の頃の私にとっては大きな、大きなイベントであった。気になる子とクラス替えでまた同じになれるか、は一大事である。
好きな子が誰かと付き合ったとか、告白すらせず敗北したつらーい思い出。
様々な角度から、時に豪速球が思い出に突き刺さるので、共感ボタンを連打される感覚に襲われた。
そんなこんなで、非常に共感できる所が多くヤキモキしてしまった。童心に返る、とまではいかないが、どこかに忘れてきてしまった感情を呼び覚ますことができた。
前置きや個人エピソードが長くなってしまったが、忘れていた幼き日の感情や記憶を想起させてくれた事に、感謝を示したい。そしてこの感情を私の同世代にも感じて欲しい、そう思った。
きっと我が子も小太郎くんや茜さん、その他登場人物達と同じような経験をするのだろう。恋色沙汰の話だけでは当然ないが、親として子供に何を伝えて行くことができて大切なのか。この作品を見ながら考えていたら、無性に小太郎くん達にも親心が湧いてしまった。
アラサーのいい大人が中学生の恋物語を見てニヤニヤしているのとか側から見れば気持ち悪いが、妻の目や世間の目はさておき、沢山のものをこの作品から貰えたので、非常に高評価。
年齢、性別、経験によって感じ方が異なると思いますが、「月がきれい」からはきっと何かが得られると思いますよ。