たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
寂しく死ぬのも人生かも知れない。
今敏の視点は相変わらず鋭い。
西洋の画家(ヨーロッパ)の人生のほとんどは悲惨なものであり、孤独死することが多い。貧乏で病気がちで身よりもいなく、恋人や友人には裏切られ、精神のどん底にいる人間が多い。ゴッホやムンクなどのポストモダンに位置する表現主義や印象派の画家は当時にあっては誰も見向きもしなかった。
そういった人の孤独や寂しさを表現する今敏の作品は正統派なアートの世界であり、明るく楽しいものではなく、暗く陰鬱で現代病理から離れない視点がヨーロッパやアートの世界で受け入れられた理由でもあるだろう。
恋人や友人に恵まれて、恋も仕事もうまくいっている人には関係のない話かもしれないが、誰からも相手にされず、恵まれなくても一生懸命生きた人生もまた、人間の奥深さなんだと思う。