ツークツワンク さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
二期で一気に化けた作品
「俺ガイル」と呼ばれ当時流行っていたのは知っていましたがどんなものかと思って2018年の今更ですが視聴。
1期の前半~中盤部分を見た段階で、ラノベテンプレ的なお悩み相談部にこれまたテンプレのクール系才色兼備メインヒロイン、元気溌剌のサブヒロインに男の娘、ヤンキー系女子、クイーン・ビー的な悪役
と量産され尽されたようなキャラばかりに加え、どこかで見たようなストーリー展開がそれに拍車をかけて途中リタイアしかける。
しかし、1期最後の文化祭の回で評価が一変。ラノベでは忌避されがちなドロドロとした心理描写と主人公の自己犠牲による欝々とした展開に光るものを感じて2期に突入。
当時の感想サイトでも賛否両論のようで1期前半のストーリーが好きな人と後半のストーリーが好きな人で別れるくらい。
2期は全編通して欝々した展開とドロドロの心理描写がひたすら続く。
しかし、これがとても面白い。
八幡の自己犠牲によるダークヒーロー的なカッコよさ
そしてそれを見ていられないヒロイン達との関係。
その結果、生徒会選挙で三人の思惑が入り乱れるのだが、ここの三人の心理描写と駆け引きが凄い上手い。
前半で一時離脱したメインヒロイン二人に変わって一式いろは、や元同級生が投入されるも単純なラブコメ要員として安易なハーレムにはならない。
2期のメインヒロインはあくまで由比ヶ浜であり、そこがぶれないのは非常に良かった。
葉山グループや妹との絡みが多い反面、一期のサブメンバーは八幡の成長に関わらないせいかほとんど出番が消滅しているが大した問題ではない。
一番の問題として雪ノ下が物語の都合上出番も少ないし、姉もヘイトを稼ぐだけ稼いでカタルシスが薄いという点がある。
ただ、最後の由比ヶ浜が得た答えをアニメの中で分かりやすくヒントを与えて視聴者にもその答えを考えさせて終わり、連載途中のラノベとしては上手く締めたと思う。
続きは原作か3期か、どちらにせよ興味をそそる終わり方である。
それにしても良く売れたものだなとつくづく思う。
テンプレラノベとしてスタートさせて、ラノベで特にタブーとされる鬱展開や心理描写を描いて大ヒットさせたのは作者の技量の賜物だと思わざるを得ない。