藤浪サトル さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
十分予想可能な展開なのに、なぜか面白い。
【作画】
さすがPAだけあって非常に綺麗。丸川社長や本田など、男性も可愛く表現しながらも萌えとは一線を画すキャラデザはさすが。
【物語】
序盤は、宮森の頭文字Dばりのドリフトやトラブル連発の制作現場など、センセーショナルな展開で視聴者を惹きつけた。
7話以降は、本来のテーマであろう「各キャラの将来や半生及び現在の問題やその克服」を丁寧に描いている。
一応の主人公は宮森。一期は高梨、二期は平岡の両制作進行の問題児を副主人公として両者の成長が描かれている。 {netabare}だが、この作品の本質は木下監督が言うように「皆が主役」を地で行く群像劇だと思う。所属団体の違う大勢の人々の努力が一つの作品となって結実するのは、どこかバッカーノを彷彿とさせて感動的だ。{/netabare}
{netabare}13話で原作者が会議に一向に姿を見せなかった場面など、{/netabare}のちの展開が容易に読めてしまう箇所は多々あったがそれでもこの作品は面白い。各キャラの成長や信念を時には作画だけで描くなど、人物を多角的かつ魅力的に描いていたからだ。特に秀逸だったのは {netabare} 18話で描かれた大倉である。旅行行くと言ったまま音信不通になった本当の意味を、ほぼCパートの作画だけで描いたのは凄すぎる。大倉以外無人の静かな田舎で、傍におつまみと酒、大倉は背景をデッサンしていた。美術ボードを用いず、旅行先で音信不通となったのは大倉が一番作業しやすい環境を整えるためだったのだ。非常に賢い。そして何より、彼なりの真摯さが伝わってきてグッときた。
22話は、高梨が居てくれて本当に良かったと思わせてくれた。「だいちゃんはバカじゃない、バカじゃないんだ」高梨太郎は聖母とさえ思えたよ。
24話エンディングで、平岡が円と山田と一緒に酒飲んでるシーンはグッときた。和解したんだな、って。{/netabare}
【人物】俺が一番好きなのは高梨太郎。太郎の決して曇らぬ明るさは、武蔵野アニメーションの太陽だと思う。この作品で一番成長したのも太郎だと思う。エンディングクレジットに唯一「タロー」と愛称で載ってるし、なんだかんだ制作陣も太郎を一番愛していたんだろうな。