World さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
史上最高峰の作品
素晴らしい。素晴らしいです。
原作未読ですので、単にアニメとして評価しますが、この作品はアニメ史に残る大作であると言えます。
もっと大きな反響があっても良いかと思いますが、テーマが万人受けしないからでしょうか。
大変楽しめました。
さて。この作品は、ジャンルとしてはSFになるかと思います。
しかし、それ以外にも様々な要素が盛り込まれています。
主要なテーマを抜きにして、最初に感じたのは、圧倒的な恐怖です。
今まで、アニメーション作品で恐怖した事は殆どありませんでした。
アニメのホラー作品は、グロテスク表現や、BGMでの演出、キャラクターの表情等で恐怖心を煽って来るのが常だからです。
恐らく、キャラクターと自分を重ね合わせる事が難しいからだと思います。
アニメはどうしても絵だという先入観がありますから。
ですが、この作品は違いました。
この作品は、自分が認識している世界そのものが偽りであるという事に対しての恐怖、根本的な部分での恐怖心を駆り立てます。
浅はかな発想かもしれませんが、クトゥルフ神話を連想しました。
対人、対もののけ等ではなく、もっと大きな、世界そのものへの疑問、違和感、恐怖。
そして、この作品内の常識と現実の常識との乖離。さらに、作品内の世界そのものが歪み、段々と露になる狂気。
とんでもなく怖いです。
そこに、独創的な作画やBGM、演出が重なり、更に昇華されていく。
素晴らしいです。
次に、世界観ですが、これもまた良い。
SFというのは、全てを理解してしまうとチープになってしまいます。
わからない方が幅が出来て良い所が多々あります。
そこにおいて、この作品は絶妙でした。
理解しておきたい部分はきっちりと説明してくれますが、ぼかすところはとことんぼかす。
ぼかされた部分は脳内で補完出来るので、より壮大な世界観を演出出来ています。
そして、個人的には「和」の雰囲気がとても良かったです。
日本人に最も馴染みのある世界ですから、ある程度の説明は無くても大丈夫ですし、八丁標や呪力等々、どういった意味合いなのかを理解しやすかったです。
日本人にしか感じ取る事が出来ない要素が多く盛り込まれていました。
世界観に関連してですが、テーマ。これも大変素晴らしかったです。
表現し辛いのですが、この作品は、主観ではなく客観的な視点から作られています。
世界という箱の外側から見ている様な感覚です。
ハッピーエンドだとか、そういった話ではなく、この場面ではこうなりました。この世界では、こうなりました。という結果を見せられている様なものです。
ですから、ストーリーの構成云々というのは正直どうでも良くて、どう感じるか、どう想うかが大事な作品です。
その点においても、人それぞれ違う感想を持つかと思いますが、私は、人間の芯たる部分を少し見ることが出来たと思います。
これは人それぞれ本当に違うと思いますが、テーマの性質上、それで正解なのでしょう。
狙いも十分に果たせていると思います。
この作品はネタバレ厳禁ですから、このくらいにしたいと思います。
一気に見ることはオススメしません。
1日3話位ずつ、ゆっくりと見ていくことをオススメします。
個人的に、SF小説は得意ではないです。創造力が欠如しているので。
子供の頃は楽しめたのになぁ。
小説原作アニメ。もっともっと出てきてほしいです。