dbman さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
なにこれスゴイ
原作未読
落語を題材にした作品といえば、アニメではないけれど、NHK朝ドラの『ちりとてちん』やTVドラマ『タイガー&ドラゴン』がとても面白かったこともあり、この作品『昭和元禄落語心中』もTVドラマ化されていたので割と期待しながら視聴。
正直、落語に関しては上記の作品でいくつか触れたくらいで、いまも“落語自体”には興味はないけれど、そんな私でも楽しめるものとなっていました。物語は落語が主軸ではあるものの、人間ドラマとしての要素が高いので落語の“ら”の字も知らなくても存分に楽しめるものと思われます。
登場する主要人物はどれも魅力ある者が多くそれだけでも面白いものとなっていたけれど、何よりも作中見所のひとつとなる落語を披露するシーンでのベテラン声優・石田彰さん、山寺宏一さん、関智一さんらの落語は圧巻するばかり。落語などド素人の私からしてみても一朝一夕で会得出来るものとは到底思えない完成度だと思われます。いっても正直なところ、ぜんぜん頭に入ってこなかった落語もあったけれどw
制作段階のキャスティングにおいて、落語が出来ることが条件のひとつであったらしいけれど、この作品で演ずる声優さんたちの演技力は、こと落語力においてはTV・映画で活躍する俳優さんたちでも辿り着けない域まで逝っちゃってると思われ…。声優さんの本気というか、その凄さをここまで実感させられた作品は他にありませんでした。
一方で作品を彩る演出面も目を見張るものがあり、例えば激動の時代を描いた街並みだったり、風景のひとつでしかない桜の木、花びらの落ち方など思わず見惚れてしまうほどに綺麗だったりと作画も丁寧に描かれていることで作品のクオリティを底上げしており、どこを取っても見逃すことが勿体無くて出来ませんでした。
物語に登場する人物たちの人間関係はわりと複雑化しており、回収されていない複線もあるもののこの第一期で一応は綺麗に終っています。しかしながら続編となる第二期『昭和元禄落語心中 助六再び篇』も含めて観るとより面白いものとなっており、すべてを観終えたいまも余韻が残る格別で素敵な作品でした。
▼キャスト
与太郎:関智一
有楽亭八雲/菊比古:石田彰
助六:山寺宏一
小夏:小林ゆう
みよ吉:林原めぐみ
七代目有楽亭八雲:家中宏
松田:牛山茂
▼制作情報
アニメーション制作:スタジオディーン
原作:雲田はるこ/漫画:全10巻
監督:畠山守
シリーズ構成:熊谷純
キャラクターデザイン:細居美恵子