鰺鱒 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
お互いのつまらん意地と言ってしまえばそれまでのような
==勘違いがあったので一部修正18/12/27==
==タイトル変更18/12/27==
アニメのみ。原作知らず。
面白かった。
タイトルとサムネ画像で長いこと敬遠していたが、見始めたらノンストップだった。
舞台設定としては、WWIに入る頃の(修正前:WWI-II期の)地球に良く似た、ただし魔法が存在する世界。(*削除↓)そこで魔法の能力をたてにわずか9歳の幼女にして軍士官となる主人公。
(*)どうみてもその頃出てきたアーリア至上主義の髭おじさん率いる国(でも「帝国」)←共和制移行前だから帝国でOK
合理主義者、安定志向(というより打算的)、社会の模範的歯車(を演じられるという意味でも模範的)で無神論者な男性が、輪廻転生の際に神なるもの(存在X)の不興を買い、信仰心を発現させられるべく理不尽な転生をさせられる。その結果が幼女(なかみおっさん)。転生先においても自らの志向を曲げようと仕掛ける神=存在Xの理不尽に抗う。というのが物語のベースライン。幼女である必然はないように思うが、行き過ぎた実力至上主義、あるいは行き過ぎた合理主義の体現としては必要な小道具だったと解釈することにした。もとがそれなりに優秀だったのだろうし、あちらの世界で類稀な魔法力を備えたわけで、その点では俺TUEEの流れもある。
主人公の頭ひとつぬきんでた魔法力を発現させる代償として神への祈り・礼賛を言わせるようにする点など、神、存在Xなるものが余りに狡い。むしろ神なるものが依怙地になってるだけのような。というか「70億人は過分」とか言いながら神なるものを名乗る時点で矛盾を感じる(そもそも、70億人じゃすまないでしょ。こちらの世界と異世界とで共通の「神様」だったら)。アニメの終わりの時点で明らかにならないけれど、この相手は本当に神(あるいは悪魔)なのだろうか。それに負けじと、主人公も十分にひねくれているのは確かだが。下種とも感じられるほどに合理性に裏打ちされた打算で判断し続ける。その点では合理主義と反合理主義の意地の戦い。
いろいろな観点からこの作品を解釈することが可能だろうとおもうが、逆に詰め込みすぎてはっきりしないところも感じる。合理主義vs反合理主義や信仰心をめぐる両者の争いにはところどころ矛盾というか不合理が感じられるし(お話をまわす装置としては悪くない設定だと思った)、戦時政治の観点から見ても新しさはないし、戦記ものあるいは戦術論としてはおいしいとこどりだし(そも、いくら基がそれなりに優秀and/or転生後の知力がすごいとはいえ、戦闘各論、部隊編成、戦時法解釈、戦争を通した国際政治展望のすべてに主人公が参画するってのはいくらなんでもと思う。)、空戦ものとしては物足りないし。。。と、見終わって思い返すといろいろ出てくる。
それでもノンストップで視聴させるだけの魅力があったのは事実。
二週目はしないと思うけれど、一週目をすっきり見させるだけのテンポと引き込みの強さはあった。
主人公の適度なひねくれ具合と、(打算に裏打ちされたものが多いけど)上司としてこの上なく有能というギャップが個人的には楽しかった。また、異世界転生ものに良くある「濡れ手で粟で俺TUEE」とは異なり、ちゃんと「後で楽するために今めっちゃがんばる」を実践している点が一週回って微笑ましかった。これくらいの打算をもっと若い頃に自分もできたならなぁ・・・・・。
=====18/12/16追記
Xmas商戦真っ盛りですが、この時期はくるみ割り人形が店頭に並ぶんですよね。結構見かけるのですが、その都度なんか嫌な気分になるのはこの作品のせい(笑)