ムーミンパパ8 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ココロがざわざわする。
久しぶりに魔法も剣もゴブリンも出てこない作品で、何だかガッツリ感情移入してしまいました。
{netabare} 原作未読ですが、結局のところこれは雪乃を救済するための物語なのでしょうか。じゃあ結衣や八幡はどうなっちゃうの?
どうか。
もがき、あがき苦しみ抜いて考え続ける八幡にも。
どこまでもやさしくて健気な結衣にも。
実りの果実をあげてほしい。
サイドストーリーとかじゃなく本編で。
1期に比べてぐっとシリアス感の増した今作では、本物がほしい! というキーワードが出てきますが、これが僕のココロをザワつかせました。
本物って何だ。わかんないよ。でも毎日生活してて、でもこれは本物じゃないだろ、と耳もとで囁かれると言い返せない、そんな感じ。
八幡も「そんなのには手が届かないとわかっている」と。
OPの歌詞にも「本物を探しに行こう、でもそれってよくできたおとぎ話じゃね?」って。
そう、知っている。これはとても危ない問いかけだ。突き詰めてはいけない。きっとたどり着けないし、報われない。ついでにいうと十中八九シアワセになれない。わかっているのにココロにずっと棲みつく喪失感?足りてない感?が、目をそむけさせてくれない。でもいつかそれは徒労感とともに「もういいや」というあきらめに変わっていく。周りとの関係性を断ち切る方向に舵を切ってしまう。ああアブナイ。
きっと作品中の彼らも間違い続けるのでしょう。
雪乃。ひとりでなんでもできちゃうから他者との関係に固執しない。わからないことは身近なモデルをまねればいい。繊細だから傷つくのも傷つけられるのも怖い。そんな風に僕には見える。有能に見える人には意外にこのタイプが多いかも。救いはあるのでしょうか。
八幡。考えてもダメだ。たどり着く頃にはボロボロになっちゃう。壊れちゃうよ。平塚先生のアドバイスを思い出せ。
結衣。いちばん答えに近いよね。なにがあっても他者との関係性を手放さない。物語終盤になってとても強い女の子になった。どうか雪乃と八幡を導いてやってくれ。でも「負けヒロインEND」はかわいそうだからなんとかしてあげて。{/netabare}
あえてすべてを伝えきらないセリフ回しで見る人にいろいろ考えさせる、とてもよくできた作品でした。