アジュール さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
観るときの年齢で見えてくるものが違ってくる。
アニメ好きなら知らないひとはいないこの作品。自分が初めて観たのは、20代前半だったと思う。
当時観た時は、兎にも角にも情熱的で熱いアニメという印象が強く、若かった自分は、その熱量のある演出に心を惹きつけられた記憶がある。
そんな自分も気づけばもう30半ばに差し掛かり、つい最近このアニメをもう一度観たくなり、なんとなく観始めた。
大まかなストーリーは記憶にあったものの、細かい部分で忘れていたことも多かったので、気づいたら夢中になって観てしまった。
面白いことに、20代に観た時はただ単に面白さとカッコよさしか感じなかったが、今は少し違った視点で観れたと感じている。
30過ぎると、20代よりも色んな経験をして、とくに仕事の面では、責任や時には壁にぶち当たることも多くなる。そして、なんでもきれいごとで済まそうとする大人社会に流されて、それがあたかも本心かのように、いつしか自分を正当化して生きてしまっている。
そう、今の自分はロシューの気持ちがとてもよくわかってしまう。まだ自分が未熟だったときは、ロシューはただの嫌なやつだったが、彼は彼なりの責任を果たそうとしたまでなのだ。
ただ、彼は大きな壁にぶち当たる。それこそ、どう足掻いても無理な状況だ。しかし、主人公はそんな絶望的状況も覆してしまう。
多くの人は、ロシューと同じように解決し難い問題を前にしたら諦めてしまうと思う。それは、責任だったり、背負ってるものを失いたくないがために、ひとは臆病になってしまうのは仕方がないことだ。
だけど、絶望的状況を打開するのは、諦めない心であり、可能性を信じ、自分自信を信じて、前に進むことだと感じている。
そこには、理屈も理論も存在しない。たらとか、ればとか関係ない。ただ、前を向いて歯を食いしばって、目の前の壁に対峙する。その向こう側を見ることができるは、その覚悟があるもののみだとこのアニメは語ってくれている。
そのことにこの年齢になってやっと少し気づけたような気がする。もちろん、実行できいるかと言ったら、まだまだ全然だと思う。
たしかに、このアニメは臭いセリフや大げさな演出が多いかもしれない。ただ、大声でわめいてるだけだというひともいるだろう。
しかし、大きな壁にぶち当たったとき、頼れるのは数字や理論じゃない。自分を奮い立たせる気合いと、自身を信じてやまないことなのだ。
長くなって申し訳ない。
恐らくこのアニメは、いい歳こいた大人が、自分が、自分達が本当はこうありたいと願って作った作品なんだと感じている。
そして、本当に大切な心構えとはなにかを教えてくれる、この名作を生み出してくれたことに、心から感謝したい。
人生はどんなときでも諦めてはいけないのだと。