TORL さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
心を揺さぶられた。
苦悩の末の恋。
愛とはなんたるか。
恋って、好きってなんだろうか。
これを見て、過去に自分を愛してくれた亡き祖祖母の思いを補完できた。僕も愛していた祖祖母だ。
永遠の愛は僕には訪れないだろう。そう、祖祖母から与えられたような。
でも、僕にとってこの作品は死という別れでしか永遠の愛が無いことを教えてくれた作品だった。
恋は脆く儚いから美しい。愛は脆く永遠の物になるのならばそれは美しい。
恋した相手が妹だった。
恋した相手が彼氏の親友だった。
恋した相手が変わり者だった。
嘘をついた。
嘘を重ねた。
真実を告げて傷をつけた。
主人公は主人公だ。僕は僕だ。
でも、僕も主人公のなんとも言えない、何が何だが分からない。彼の愛と自分の愛について考えてしまった。
「これはアニメーションではない。純文学だ。」
キャラクター小説のような内容ではない。ラブコメでもない。
ture tearsとは愛とは何かという哲学だ。
少なくとも僕にとっては愛はなんたるかを教えてくれた作品だった。
僕は苦悩していた。悩むべきことではないことに。
それでも、一方で愛を求めていた。
愛は美しく永遠にするためには死ぬという行為によってしかそれは為されない。
だが、同時に長い時間もっと愛して欲しいと思った。
愛に飢えている。死を選ばずに。
好きな人に好きとは言いにくい。とても共感できた。
愛は儚く脆い、相手のことを考えすぎて何も手につかなくなるほどに。
いつものキャラクター小説やアニメとは違って彼女達の中から嫁を選べなかった。
全員僕だった。僕の一部だった。
別に他の作品ほどキャラクターが際立つ訳ではない。
それでも、美しき愛がそこにはあった。
家族愛。恋人としての愛。許されざる愛。妹への愛。
愛は求めても手に入らない。愛は強引に手に入れるものでもない。僕は、一生をかけて手に入れることができるのだろうか。飛ぶことができるのだろうか。
愛とは何だろうか。
見てくれた方の過去を振り返ってみて一番愛を注いでくれた人が誰だったか考えて欲しい。
そして感謝しろとは言わない。
自分がその人を愛してることを確認して欲しい。
僕は両親には祖祖母ほどの愛はないかもしれない。
それは愛の度合いの問題だ。
愛の存在を確かめるためにtrue tearsを見ることをオススメします。「貴方の愛はどこにありますか?今持ってますか?」
この作品を見て心が崩れそうになったり揺さぶられたりしたのなら貴方は間違いなく誰かを愛した経験があるのだと思います。
「本当の涙は流せてますか?」
「貴方はありのままで輝けますか?」
以上。感想文らしくない感想文です。
内容に関しては、10周年になって今更ながら、色々と謎な部分は御座いますが、多くの方が終わり方が微妙だと言われるでしょう。
そういった意味で、この作品は非常に観る側の能力が試さられるような作品だと思いました。
僕の中にはtrue tearsに出てきたキャラクターが生きています。
僕は絶対に愛ちゃんや4番も皆幸せになっていく感じがします。
そして、乃絵は言うんです。
「飛べない人間なんていないんです。
飛ばない人間は沢山いるのに、飛ぼうとする人間は少ないだけなんです。私は飛びたかったんだ。それも一人だけでなく誰かと、いや慎一郎と一緒に。」
たしかに慎一郎と比呂美は結ばれた。
でも、慎一郎の絵本作家としての仕事は乃絵がいなければ伸びないかもしれない。そう思わさせらることがある。
最後の来迎丸の墓の前で立つ乃絵の姿を見ていたらそんな最後では無いと彼らは救われないと思う。
絶縁する必要がないと思う。恋の邪魔さえしなければ、仲良い友達として過ごすことは比呂美にとったら嫌悪感を抱くかもしれないが、それでも慎一郎にとってはもう二人は彼にとって大切な人なんだと思う。
愛はそう簡単に生まれやしないし、生まれても儚く脆い。
でも、彼らは別れやまた出会いを繰り返して永遠に僕の心の中に生き続けている。
true tears 10周年おめでとう。
いつか、また会う日まで。