ヒロウミ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
世界がこんなに優しければシングルファミリーもとても幸せなんだろうが
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すっきりした物語、すっきりした展開、大きく外れない劇中音楽、それなりにハマった声優陣。
ん?それだけ!
子供の成長は微笑ましくあり、子育てしたことある方なら分かるだろうが思わずほっこりするもので。マンガタッチで描かれた作画とほっこり感のマッチングはまさに見事!
一番大変な乳児期を経験(描写)しないからこそ色々な背景、悩み、苦痛があれどもそれをぶっ飛ばして嬉しさを感じる。その苦労や苦痛をほぼ全てすっ飛ばし「無いもの」としたこの世界はほのぼのとして実にほっこり。リアルの無さはまさに毒抜き作品、アニメ(漫画)らしい夢に溢れた作品でたくさんの幸せをくれるだろう。この手の作品見ると子供がほしくなるんですよね・・・。
ただ、現実世界日常系であるため「リアルな物語構成」が必要になってくるのだがこの作品は「夢物語」で非現実的な世界だ。周辺人物との関連性やその描写が「何ちゃって昼ドラ」でリアリティはかなり薄い。現実に疲れた人が描いたような妄想的描写が多い。「片親」という今どき珍しくなくってしまいつつある家族のありかた、そしてその家庭が抱える多くの問題を描く作品であるはずなのに実にチープ、明らかに「現実が足りない」。いや、描写が足りないとか経験不足というより取材不足でしょ。この手の作品は安易に同情を求めるのはいかがなものかとも思う。
美談にしたいがためにリンの母親の立ち位置を曖昧にしている。60~70のおじいさんが10~20代前半の女と子作りする意図。安易に避妊しなかっただけ、じいさんのことが「ただ好き」とだけな感じにしか受け止められなかった。財産分与の話し合いや放棄したかどうかの描写も無く僅かに子供への心残りを覗かせるがその様はタバコのポイ捨て状態。それはじいさんへの「気持ち」もしかり。墓参りはするんだけどね、ふっしぎー!
都合良くキレイな悪者扱いするのは実写ドラマで十分かな。何ならもっと金に執着するーとか娘を返せーとかあっても良かったんだが、原作でのその後にあったら少し安直すぎて残念かな、あるのか知らんけど。
大吉のとおちゃん&かあちゃんも非協力的なんですよね。明らかに一線を退いていて暇そうなのだが風邪をひこうが何しようが放置。普通ならば駆けつけるものだがそんなに遠隔地な描写じゃなかったと思うが。
こんなほっこりする世界があると本当に幸せ。もちろんこんな世界がゼロだと言うわけではないし実際にほんの少しの問題はあれども幸せに暮らしている家庭は山ほどある。
しかし、この作品は本当に幸せな世界を知らない人間が描いた物語に求めている「都合」があまりにも非合理的でちょっぴり残念な作品。
まぁそんな現実を「知らぬが仏」とはその事なのだろう。