oneandonly さんの感想・評価
3.9
物語 : 2.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
世界観・作画・音楽に優れた作品
世界観:8
ストーリー:5
リアリティ:7
キャラクター:6
情感:6
合計:32
幼い頃に色覚を失ってしまった、魔法使い一族の少女・月白瞳美。祭りの夜、彼女は祖母の琥珀から「高校2年生の私に会いに行きなさい」と告げられ、魔法で60年前の過去へと飛ばされる。気づくと彼女は、南ヶ丘高校に通う高校生・葵唯翔の部屋にいた。自分の身に何が起きたかわからず、あわてて部屋から逃げ出す瞳美。しかしその姿が、唯翔の友人である川合胡桃たちに目撃されていて……。
(公式サイトより)
<5話まで>
あにこれで今シーズン(2018年秋)の評価値が高い作品と認識。dアニメストアになかったので見られないと思ったが、Amazonプライムで発見。録画も開始し、3話からほぼリアルタイムで視聴中。
11月上旬時点でSAO3期を凌ぎ、現シーズンで最も楽しめている作品です。物語が成功すれば覇権を掴むだけのオーラがあります。
音楽がとても良くて、OP、ED両方既に購入。OPはボカシなどを駆使された美しい作画、「17才」の題名通り若々しさに溢れた音楽が良いですね(ハルカトミユキさんは初めて知りました)。EDは「未明の君と薄明の魔法」、やなぎなぎさんのマイナー調の暗めな曲です。本作はP.A.WORKSの作品ですが、監督や音楽を凪のあすからと同じ方が担当していて、凪のあすからの1クール目のED「アクアテラリウム」を思い出しました。
作画では、サビの部分で瞳美、唯翔、琥珀が走るシーンがあります。これが自然な躍動感があって良いです。P.A.WORKSだったら、例えばTARITARI(2012年)でもOPに走るシーンがあるのですが、2015年頃に見た当時に不自然さを感じて、自然に走らせることは結構大変なんだと思った記憶がありまして、アニメーションの進化を感じました。
続く黄色の魚がきらめくシーンあたりでよくわからないままに感動してしまい、キャラデザも好みなので、音楽と作画だけで視聴を決定してしまったほど。
物語は、{netabare}5話までのところ、祖母が日本に戻ってきてから少し加速してきたでしょうか。瞳美と唯翔、あさぎと将との人間関係(恋愛模様)を当面描いていきそうですが、時間が絡む物語はP.A.WORKSの十八番だと思っているところ、60年のタイムトラベルが結末にどのようにつながっていくのかが一番の興味。先が見えないオリジナル作品の楽しみでもありますね。
ここまでで気になった所としては、瞳美が色を見えないという点をより深刻に見せるために、瞳美が見ている風景を描くシーンをずっと白黒にすれば、色が見えた時の驚きにより共感できたのではないかと思ったこと。そうでなくても結構印象的なシーンでしたが、もっといけたかなと。{/netabare}
<最終話まで見終えて>
本作は最終話まで作画がほぼ乱れず、背景描写には所々で見惚れました。
一方で、序盤から期待したほどに評価値が上がらなかったのは、ストーリーの盛り上がりのなさによるもので、{netabare}11話の瞳美と唯翔が抱き合うシーン(この回の演出はとても良かった)は、作画の丁寧さと比較して、雑で強引な展開と思ってしまいました。
瞳美と唯翔がお互いを好きになる過程がもう少し必要だったと思います。唯翔にとっての瞳美は、自分が描く絵を認めてくれ、後押ししてくれたので具体的な描写がなくても理解できる一方、瞳美にとって唯翔は、唯翔の絵だけ色がついて見えること、その絵を描ける特別な存在ではありますが、唯翔自身にどのように魅力を感じていったのかが、私には伝わってこなかった。
(そもそも、なぜ唯翔の絵にだけ色がついて見えたのかは回収されたのでしょうか。私の見落としかもしれませんが。)
全体的にストーリーの動き出しが遅すぎた印象で、胡桃のエピソードを削ったり(2クールなら良いでしょうが)、展開が容易に想像できた将とあさぎとの3角関係部分はもっと早く終わらせて良かったかな。深堀りしてほしいところが物足りなかったのは惜しかったですが、最終話はうまくまとめていたと思います。
ツッコミとしては、再会した瞳美に琥珀がタイムカプセルを見せて、未来に送ること等は全て知っていたというシーン。タイムパラドックス問題をさらりと進めていますが、琥珀が瞳美を過去に送らないという選択肢がない、自由意志のない世界観ということになっています(個人的には引っ掛かる)。
{/netabare}
ストーリーは不満な部分が残りましたが、明るくないキャラはリアリティ面で悪くなく、バトル物ではないささやかな魔法が存在する世界観と美麗な作画は良かったです。
(参考評価推移:3話4.2→7話4.1→8話4.2→9話4.1→10話4.0→11話3.8→12話3.9→13話4.0→調整3.9)
(視聴2018.10~12)