Dkn さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
『転生して最弱モンスターになったサラリーマンの建国日記』
スライムとは――――過去の作家によってアメーバ等から想像した空想の生物として創られ徐々に認知されだします。ウィザードリィやドラゴンクエストなどの「ロールプレイングゲーム」序盤の“ザコ敵”として扱われ、強敵として描かれていたスライムのイメージは変わっていったのです。
そんな“最弱”であるスライムを主人公にして、建国や生産など箱庭的な要素を含むゲームちっくなコンセプト。スキルを奪い習得するファンタジー=ゲームの世代に刺さりやすい設定。スキル奪取系は“小説家になろう”で一大ブームな為に食傷気味ですけど、中でも代表的な人気作である転スラは、リムルを可愛いスライムと少女の姿で描くことも人気につながっている気がします。
無双系の作品は頭空っぽで見られる反面、細かいところで背筋がゾワッとするほど違和感があることも。ご都合主義全開ですし…特にアニメは省略の仕方が極端で主人公が国を作っていく為のやり取りや過程を「ウチと国交を締結させてくれ」→「いいとも!」くらいの雑さで済ませ、そのくせ省略できそうな部分を長ったらしくやるので間延びする悪循環。――総評としては全体的に見せ場をうまく調理出来ておらず原作をダイジェスト気味に詰め込んだアニメ化でした。シリーズ構成がもっと上手ければ作画の省略は気にならなかったと思います。魅力はちゃんとありましたからコレはコレとして楽しむことにしていました。
内容にはネタバレにならないようあまり触れませんが自分的な盛り上がりポイントをいくつか挙げていきます。
オープニングがバトルアニメらしい曲だなと聞いていたら、上松範康が作曲でした。そして編曲が藤田淳平。声優・アニメ・ゲーム系の曲で昔から有名なふたりで、記憶に新しい作品でいえば「戦姫絶唱シンフォギア」コンビ。ボーカルは誰だ?と思ったら主人公の転生前を担当する寺島拓篤。
実質リムルが歌っているようなものなので、タイアップ曲の声優を転生前の主人公に起用するのは面白いですね。昔からアニメの主題歌って主役の声質に似ているアーティストさんが起用される気がします。スレイヤーズのリナ=インバース役:林原めぐみのように主役声優が主題歌を担当しているとキャラクターが歌っているような感覚になるので、それを狙っているのかもしれないし、偶然かもしれない(笑)
14話でEDが田所あずさの「リトルソルジャー」に変わりましたが、私は転スラの中でこの曲が一番好きです。OPで登場していた謎の少年少女達も後半に登場しますが、ダイジェスト感があって原作や漫画で笑ったり感動したシーンの再現はあまり出来ていなかったように思います。
キャラクターデザインが新進気鋭の作監として評判の高い江畑諒真で、モンスターデザインが岸田隆宏。江畑さんはエイトビット制作に欠かせないアニメーターになっていて、過去に岸田さんと組んだことも。各話に作監が複数いる事から、画作りに関してこだわりと分業できる環境を感じられて好感が持てる。しかし…モンスター達が主役の世界でモンスターデザイン担当って実質キャラデザ担当じゃあ…?(細かいことはいいか。
第4話でファンタジー好きなら誰もが憧れる美男美女の種族、エルフが登場。主人公リムルの想像するエルフが「ロードス島戦記」のディードリット(正確にはディードに似たエルフ)で、どうやら本家様から許可をもらったらしいです。エルフのお姉ちゃんがいる店に行くなんて夢っスねえ…。転生してーなあ。
オークロードの話は漫画から好きでアニメでも泣いてしまいました。雑な脚本とコンテで出来たAパートの茶番で辟易したもののストーリー自体は王道。私は転スラに多種族国家の発展を見守る箱庭ゲーム的な魅力を感じていて、日常パートのほのぼの含め、これからもリムルの行き着く場所を見守って行きたいので再びアニメ化するといいなーと密かに期待しています。
原作小説を買っていますが漫画の補足として読んでいる変則的な楽しみ方をしています。アニメの先を追いたいなら原作者「伏瀬」の書いた小説と、シリウスKCから出ている「川上泰樹」が描くコミックスがいいでしょう。他に5作品あるスピンオフ漫画は世界観が気に入った方はどうぞ。