TORL さんの感想・評価
2.1
物語 : 1.0
作画 : 1.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:今観てる
作画崩壊、キャラクター設定崩壊、妹物の皮を被ったアホな兄貴が妹の功績でモテる話
作画崩壊は言うまでもないだろう。
1話はまだ良かったが、常にぎこちない動きである。
ヒロインである涼花の口が二つある作画もある。
EDがやっと4話で追加されたが、安っぽい演出の果てに作画省略した主人公の遺影。
誰がこのような作品を買うのだろうか。
では内容面に話題を移そう。
なにやら、巷では内容はいいのに作画が酷いらしい。
たしかに原作はいいのかもしれない。それは原作未読の私にとっては分かりかねるが、アニメ本編だけの内容では鬱レベルの作品だ。
何が酷いかと言うと、まず主人公の兄は小説家志望の凡人なのである。そして妹はなんでもできる人気者の超人妹だ。1話までは兄に自分の小説を代わりに買いたことにしてくれと頼む事を除いては、その設定は守られていた。
2話から徐々に妹は化けの皮を兄の前でも剥がしていく。ツンツンしてたはずなのに、常に兄の前でもデレデレとしてくる。
他のヒロインも同等に氷室舞も美少女で高嶺の花だったが、ガチストーカーであり、主人公の狂信者になる。同業者の執筆中の作品を盗み見るなど小説家として無論あり得ない行動を取る。
アヘ顔さんはネタ枠なのだろうが一番まともである。
水無瀬は主人公の妹になりきる声優だ。こちらも狂信者だが、氷室ほどではない。
そのような他の作品のヒロインと同じ呼び名をしていいのかわからない変態達に囲まれたハーレム物である。
忘れてはならないのは兄が受ける仕打ちである。4話冒頭ではサイン会が行われ、どんどん兄は作者として名声を高めていく。
ここで皆さんに考えてもらいたい。兄は小説家志望ではなかったのかと。妹の作品で名声を高めて何が嬉しいのかと。自分の作品に一定の自信と1話時点での憧れがあったからこその小説家志望なのではなかったのかと。
さらに追い討ちをかけるように盗み見られた作品は氷室舞に酷評され、彼は自尊心を無くすはずである。
少なくとも私なら自信を失う。
だが、この主人公は完全にアホなのか模写されていないのかは分からないが、自尊心を失わない。めげない。そういった姿勢は素晴らしいが、矛盾に気付くはずだ。この作品の作画を超えた「異常さ」に。
妹は何でもこなせて人気者ではなかったのだろうか?お兄ちゃんがなによりも実は好きなのではなかったのだろうか?
兄の気持ちを考えずに自分のエゴを押し付け挙げ句の果てに兄の作品をコケにしているのである。
小説とは自分の心や経験を写し取る物だが、それを否定されれば殊に小説家志望という立ち位置では自信を失うとなぜ分からない。逆に自分の好きな人だから?恋をしているから?
そして、主人公もなぜ落ち込まない。人間ではないのか。そうか。(アホでない人間であればEDの最後の模写のように遺影になるレベルの鬱度だ)
私が古今東西、数多の作品を見てきた中で最も内容(主に心理)が矛盾し作画崩壊が著しい作品の一つとなった。
声優は良かった。良く仕事をした。作画もエロカットなどはとても良かった。
他の部分は素人の作るアニメーションよりも酷い出来であったが。
ライトノベルはキャラクター小説だ。特に深い意味を持つ純文学とは違い、キャラクターの良さを分かり可愛さを甘受し幸せになるのがラノベの良さである。だが、この作品は読み込めば読み込むほど異様さを呈する。
論理のないキャラクターに魅力を感じるのはいかがなものだろうか。それは果たして魅力なのだろうか。イラストがいいキャラデザがいいという事だけではないのだろうか。
たしかにただのイラストとしては楽しめても内容が良くて、なのに本当に作画酷すぎるだけでこんな内容になったのか今一度出演者達の設定を鑑みた上で考えて欲しい。
明らかに矛盾している。
私は辛い。この作品を見てしまったから。妹物は妹がいて色々困難があろうと妹は妹の個性を守ってきたはずだ。私はそんな妹物を愛している。だからこそ辛いのだろう。
涼花はそれではない。個性は瓦解し狂気に満ちている。
ハーレム物としても異様である。ハーレム物は可愛い女の子に囲まれて幸せになるものだが、これは狂信者達に囲まれて、しかも自分ではなく妹の功績を称えるもの達が自分ではなく虚像偶像を囲んでハーレムする物語だ。
1人の小説家として兄は幸せなはずはない。(しかも自分の作品はしばしばそれを否定される)
「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」という作品は、ライトノベル業界でも異端だ。
幸せは人によって違う。好みも違う。
だが、この作品はドM向けか、一切キャラクターの気持ちを理解出来ない人達向けだ。
残念ながら私は作品を愛せない側の人間だったようだ。
残念でしかならない。最後までちゃんと見たうえで病んでいこうと思う。兄に勝手に私情で同情しながら。