ヒロウミ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.5
作画 : 2.0
声優 : 3.5
音楽 : 2.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
日出ずる瑞穂の国の今の防人。人生をかけ続けてもなおも晴れぬ。
「軍人」を知らない日本人。守られている意識の欠損、過剰なまでの自己擁護、誤った価値観の流布に踊らされるこの国民ですら守るべき「国の宝」。
そんなものに命をかけるあなた達を称賛せずにいられようか。
航空自衛隊救難部隊を描いたヒューマンストーリー。神でも聖人でも無いがゆえに苦悩するその様はとても「人」らしく美談だけではすまされないからこそこの上手くいかない物語は引き付けるものがありました。
何より現場に混在するパニックと冷静の同居のバランスが良く、臨場感のある作品でした。
しかし制作はJ.C.STAFFて2006年。進歩の無い酷い機械の作画は相変わらずでぐにゃぐにゃで絵心ない人が描いた落書きレベル。背景も特筆するものも無いし違和感が多く悪目立ちする。
キャラクターが崩れることは無いがデザインが陳腐で「3親等」ぐらいの立ち位置のキャラクターに違いがとても分かりにくい。しかも中の人の演技も全くハズレ。3DCGは古くともこの当時では違和感無く見れるものかと思うが一言で「絵」は酷い。
そして時々あるセリフの間の酷さ。中の人の問題もあるのだろうがこれを良しとする現場もどうなんだろね。
物語の構成も中盤の「緑山事故」のストーリーは茶番に等しくEDとの大人の事情で無理矢理作った感がある酷いもの。まぁ一番見るに耐えないのはEDなのだけども。
と、散々な面もあるものの他の物語は自衛隊員の苦悩、悲しみ、喜びなどが多彩に描かれ見所がある作品です。数値以上に見応えはありました。
被災地では人目を忍びながら食事を摂らないと被災者からバッシングを受ける悲しき勇者たち。挙げ足取りにもク◯にもならない誤報を振り撒くSNS信者や何ら有意義な情報の提供ができないニュースのなんちゃってコメンテーター達。そんな肥溜めにもならないような人間ですら助けてしまう彼らの行動は未曾有の災害が「また」起きないと評価されないのは由々しき事態。そのことにどれだけの人が気づいているのだろうか。
今のご時世命がけで守る「物」はあれども命がけで「人」を守る人がどれだけいようか。それだけ成熟した人間が多く居るとは思えない「大人の幼児化」が進む日本の行く末を憂いてしまう。そんな事を思う作品。