こまたち さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ポンコツネゴシエーターの溢れんばかりの魅力
1999年放送のセカイ系ロボットアニメ
全26話
抽象的なセリフ表現と曖昧な説明でとにかく難解な印象を与える本作。いかにも90年代後半らしい作風です。伏線の放り投げと説明不足により謎を多く残したまま終わってしまうのがいかにもといった感じ。今では受けが悪い作品のように思います。ひょっとすると当時でも賛否両論の作品だったかも。私個人としての評価は並。1クール目は単話完結型のショートスト―リーが続いたのでそこで少し飽きがきてしまいました。ただ2クール目後半からの面白さは目を見張るもがあるし、作品全体としてはそこまで悪いものではなかった。もう少し平易な理解ができる構成にしてほしかったという気持ちはあるが、物語の結びも決して悪いものではない。傑作・名作とはお世辞にも言えないが、良作であることは間違いないでしょう。
<ネゴシエーターとは(哲学)>
本作の主人公であるロジャーの職はネゴシエーター。つまり交渉人。黒スーツをビシッと決めて、人物像は紳士そのもの。「ああ、きっと凄いやり手なんだろうな」と思うのも束の間。彼のネゴシエーション、作中で成功したのはたったの一回。ラストまで失敗続きなのはホントに笑える。(ただラストに初めて成功したというのはそれはそれで感慨深いものではあるんですけどね。)しかも引き受けた仕事の多くは探偵や警察のそれ。本作に対するコメントで「ネゴシエーションとは?」とか「ネゴシエーション(物理)」というものがあったがまさしくこれでしょうね。ロジャー曰く「最終手段」の武力行使を毎度使用。本当、ネゴシエーションって何だったのでしょうね(笑)ただこういうところも含めてロジャー好きよ。ドロシーとのかけあいも微笑ましくて好き。そしてなんといっても声優さんの声の格好いいことこの上ない。宮本充さんの声ありきでのあのロジャーだったのだなと今でも思います。あのクールでダンディな声をきけただけでも視聴した甲斐がありました。「ビッグオー。アークション!!」
<ライバルと思いきや、、本作きっての芸人ポジ担当>
ロボットアニメにおけるかませ犬ポジのキャラは偉大だと改めて痛感しました。ロジャーのライバルらしきキャラは何人か登場したが、その中でも特に印象深いのはベックさん。一話のポンコツ具合から才能を感じていたが見事に光りましたね。一応ライバルとして成長する可能性も楽しみにしていたがそんなことはつゆ知らず。極めつけは18話、ベックの再再々登場回。ロジャーに対抗するために作り上げた新しいメカー。さぞ自身に満ち溢れていたことでしよう。新武器も取り出してビッグオーに攻撃を放つ。そんな姿を見て私も「お?もしや!?」なんて思ったりもしたがもちろんそんなこともなく。ものの一瞬で粉々になったベックのメカを見て、哀れみを通り越して笑いがこみ上げてきました。このあとはもちろんまたまた監獄へ。ホント、素晴らしいかませ犬ですね。ベック、好きよ。あんたのそういうところ。
以上
一言:ロジャーの魅力に満ち溢れた作品でした。