MLK さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
無題
本作は、ラストが示している通り虚構が現実に影響を及ぼす手段を模索していたが、全くそれに成功していない。
本作では、広がりを持たないセカイ(自意識)から脱却することの素晴らしさが説かれている。そのメッセージの妥当性はともかくとしても、その手段が、思弁に過ぎなかったことは全くいただけない。どれほどの救済があったとしても、あれがアカネの内側の物語で終わる限り、物語は外部の世界に対しては、何ら運動力を持たない。
もちろん、物語に人を救済する力が無いとは言わない。しかし物語が人に影響を及ぼすには、実世界に対する運動が必要だ。騙されて運動するからこそ、人間は嘘を信じられる。これだけネットワークが発達したにもかかわらず、かつてなくイベントが盛り上がる時代になっていることからもそれは明らかだ。
その点で、運動を欠いたアカネの内面世界での戦いは外側にある現実に対し何ら影響を及ぼすことはないだろう。アカネがグリッドマンに救済されることは無い。