かがみ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
科学と魔術の交差する豊穣な世界観
灼眼のシャナと並ぶゼロ年代電撃文庫の看板作品。本作はゼロ年代初頭のセカイ系的想像力とゼロ年代中盤の決断主義的想像力を絶妙な匙加減で折衷的に取り入れている。上条当麻も一方通行も世界を左右する力を持つ少女に全面的に承認される決断主義的ヒーローである。本作はそういう意味でも当時のライトノベルにおける到達点に位置していた事は疑いないであろう。
ただ、やはり時代は移り変わった。決断主義的想像力は乗り越えられつつある。上条の「説教」は、いま聴くと「理想の押し売り感」をどうしても感じてしまう部分は否めない。世界は白か黒かで分けられるほどに綺麗ではない。誰しも事情を抱えてグレーゾーンを生きているのである。
とはいえ「ベタな決断主事者」の上条に比べ「メタな決断主義者」である一方通行は、いまもなおダークヒーローとして魅力的な輝きを放っている。ラストオーダー編は何度観ても素晴らしい傑作エピソードです。