RFC さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
地味かもしれないけどじっくり描かれた青春群像劇 色彩豊かです
主人公兼ヒロイン、月白瞳美の儚げなキャラデザに
惹かれて視聴開始。
【作品概要】
魔法が現代社会にふつうに認知されている世界。
主人公は大魔法使い月白琥珀の孫である月白瞳美。
瞳美は魔法使いの家系でありながら、魔法を嫌悪しており、
視覚からは色が失われ、
他人から心を閉ざしてしまっています。
祖母琥珀は花火大会の夜、
瞳美を60年前の世界に魔法で転送します。
瞳美は何のために60年前に転送されたのか?
【作品に対する感想】
タイトルに「色」を冠しているだけに彩度が高い作画で、
ものすごく色彩豊かに仕上げているように感じます。
派手さはありませんが、
じっくりと丁寧に物語を進めていきます。
主人公兼ヒロインの瞳美の儚げな美しさに惹かれたものの、
最初はすべてに消極的でいちいちおっかなびっくりで
イマイチ魅力が半減していました。
しかし、仲間に支えられて徐々に成長し
最後の方はとても魅力的な子になっていました。
成長譚が好きな私としては及第点です。
じっくりしっとりアニメを見ていく人にはお勧めと思います。
逆に変化を求める人には眠たい作品かもしれません。
1)物語
魔法写真美術部内の人間に絞ったことで
短期間にみんなのエピソードを
盛り込むことができてどのキャラも好きになれました。
文化部ゆえ、運動部的な熱さは無いものの、
仲間と衝突しつつ信頼を深めて成長していくのは王道で、
やっぱり心地よいです。
瞳美が色を認識できなくなった理由…彼女らしいと言えば
彼女らしいですが哀しいですね。{netabare}
でもそれを乗り切ったときのカタルシスは半端じゃなかったです。
{/netabare}
2)作画
とにかく彩度が高い作画です。
ロケーションが長崎で風光明美なところだけに、
余計に綺麗でした。夜景は見たことが無いんですが、
昼間には何度か訪れたことがあり、
ああ、こんな感じだったと懐かしくなりました。
また物語のトーンが暗くなった時は彩度を落としたりと
細かいところでこだわりを感じました。
{netabare}
最後の瞳美の心の闇、自身への魔法(呪い)が解かれていく
シーンは圧巻でした。かなりウルウルしました。
{/netabare}
4)音楽
OP17歳。
17歳の頃の私が聴いていたら滅茶苦茶好きになった曲だと
思いますね。
5)キャラ
①月白瞳美
どうしようもなく引っ込み思案な娘ですが、
苦手な魔法に自分の意思で挑戦したり、
ガンバリ屋さんな面もありだんだん好きになってきました。
色が見えない…視覚のことだけではなく、最初の頃は
心の中からも色彩が無くなっていたように感じました。
60年後という割と近未来から現代に来た月白瞳美の
ギャップボケは微笑ましいです。
②葵唯翔
コミュ障気味の警戒心バリバリの根暗少年かと
思ってましたが、少しずつ瞳美に惹かれ、
変わっていきました。
自分一人が満足してればよかった過去から、変える選択を
したのは物語としても大事な要素になりました。
③月白琥珀
瞳美とは対照的に滅茶苦茶ヴィヴィットな娘です。
周りを巻き込んでのトラブルメーカーな一面もありますが、
彼女の言動は常にだれかを幸せにというのが根源にあり、
憎めません。
④山吹将
こういう面倒見のいいアニキ肌の人、
こういう青春群像劇では{netabare}何でいつも損な役回りになるのか…。
{/netabare}
6)好きなシーン
{netabare}
①琥珀主催 瞳美と唯翔の実験
笑わせてもらいました。
いや、琥珀煽る煽る(笑
②襖にプチメテオ
綺麗なシーンと思わせておいて微妙に笑いをとる。
この作品らしい控え目な笑いでGJでした。
襖を破るボソッて音が妙にリアルで(笑
③絵の中の世界、瞳美の心の闇
絵の中に入る魔法。楽しいファンタジーの時間から一転
瞳美の心の内の闇がかなり重たいものであることを
知ることができます。怖気の走るシーンでした。
④瞳美・唯翔の心の枷の開放
大人しい唯翔が顔を歪めるほどの絶叫。
必死さが伝わってきました。
⑤唯翔の絵本
この演出…初見ならたぶん涙止まらなかったと思います。
魔法写真美術部の面々を動物に置き換えて、
瞳美が色を取り戻していく物語にしています。
絵本の動物たちのセリフは写真部の面々の声で当ててあり、
こんなの反則ですよ。もう。
以下余談{netabare}
この演出「君が望む永遠」の水月Endの最後を思い出します。
アニメでは描かれていませんが、
ゲームでの彼女のエンディング。
高校時代の仲間とドロドロの愛憎劇の末、
離れ離れになった数年後
本屋で偶然見つけた絵本「ほんとうのたからもの」が
まさに高校時代の水月たちを絵本に落とし込んだ
物語だったというものです。
その絵本の内容は宝物の取り合いで喧嘩になり、
散り散りになった仲間たちが互いを許し
再会するというもの。
本当の宝物は絆でしたという物語。
この絵本を読んだ水月はけんか別れしたかつての仲間の
メッセージをくみ取り、泣き崩れるというものでした。
{/netabare}
{/netabare}
7)引っかかってるところ
{netabare}
絵本作家になったと思われるその後の唯翔。
瞳美と出合うことで絵で生きていくことを
選ぶことができました。
しかし彼は瞳美と辛い別れを経験することになりました。
その後彼は心の整理をつけて、
次の誰かと人生いを歩むことができたのでしょうか?
もし瞳美の存在が枷になって孤独に生きていったというの
ならばあんまりだなと思いました。
というのが最後に彼の子孫と思える人が
出てこなかったからです。
(瞳美が墓参りしていたのはおそらく唯翔?)
それも彼の選択なのかもしれませんが、ひっかかります。
{/netabare}