8bit さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
この題材で、この味付けで、よくぞここまでの作品を
中学3年生男女の恋を描いた物語。
終始一貫して言えるのは"地味"だという事だ。
悪い意味ではなく良い意味で。
エンタメ作品としては激情型の方が盛り上がるだろう、感情移入もしやすいだろう。
しかしこの作品はその手の盛り上がりを一切省いた。意図的に。
山もない谷もない(もちろん多少はあるけど)、ただひたすらに主人公とヒロインを追い続けた。
この手の作品は表に出ているキャラクターが美しいだけでは成り立たない。
家族を、友達を、街の人を、そして街そのものを描かなくてはならない。
「男の子出てこないよね」とか「街の人がいなくてゴーストタウンみたいだね」とか、メタ的に許されてしまう要素そしてコスト的な要素までも真摯に向き合って丁寧に描いている。
(街の人やモブ生徒などは3Dで描いている)
何と真面目な作品か。
間と音の使い方が絶妙で良い意味でアニメらしくない。
邦画を想像すれば分かりやすいだろうか。
悪く言えばアニメである必要性は薄いかもしれない。実写向きの演出。
この点は退屈だと感じる人もいるだろう。
声の演技(演出面)もとても特徴的。
感情をただただ台詞にするのではなく、台詞にならない箇所は喋らせないというこだわり。
無音の空間も多々ある。
声優さんに特にこだわりは無いんですけどヒロインの演技は本当に素晴らしいと感じました。
え、新人さんなの?なんとなく納得。
昨今の「記号的なアニメ」と真逆を行く作品。別に記号的なのが悪いと言っているのではなく。
キャラクターの強い感情(怒りや悲しみ)に対し感情移入をするのではなく、作品全体の雰囲気に感情を合わせる、そんな作品。
主人公を観て、ヒロインを観て、サブキャラクターを観て、街を観て。
最終話に関してのネタバレ。
{netabare}
BADエンドで終わると思った。
あるいは適当に濁して終わるのかと思った。
しかし「それから~」で全てを描き切ってくれた。
道中はエンタメ要素一切省いてたのにココにエンタメ要素を入れてくるのか!
{/netabare}
あぁ、上手い。