アニメ記録用垢 さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
この世には善悪などなく、あるのは個々の立場と決断のみである。
〝立場が変われば見方が変わる〟これを伝えたかったのだろう。
今作は最初は人間側の視点で描かれるが、後半は屍鬼側の視点で描かれる。
最初こそ屍鬼の存在が理不尽な〝悪〟に見えるが物語が進むにつれ
人間の集団心理・排他的精神の悪い部分が表立ち
『自身で決断せず周りがやっているからやる』『余所者や異文化を受け入れない』が加速し
人間と屍鬼どちらが人外かわからなくなる程に堕ちていく。
生きる為に牛や豚を殺し食べる我々人間と、生きる為に人間を殺す屍鬼に善悪などないのだ。
言ってしまえばどちらも善であり悪でもある。
それは自分自身が置かれている立場で決まると言っていい。
人間側からしたら自分達を殺す屍鬼は紛れもない〝悪〟であり
屍鬼側からしたら自分達が生きる為に人間を殺すのは〝善〟であるからだ。
今作はこういったことに真っ向から向き合わせ、考えさせてくれる作品として非常に価値のある素晴らしい作品であるのだ。
話は逸れるが何が好きで何が嫌い、そういったくだらない事で争い合う者が多い。
立場が変われば見方も捉え方も変わるのだ、それに正解はないし、間違いもない。
各々が信じるモノを信じてだけいればいいのに他人に強要する馬鹿が後を絶たない。
故に争いが生まれる。不毛の極みだろう。
この世には善悪などなく、あるのは個々の立場と決断のみである。