fuushin さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
俳句の季語に、"朝寒(あさざむ)" ということばがあります。
「晩秋」。早いところでは「霜降」でしょうか。
北海道は "雪もよい" でしょうが、沖縄は "新北風" かもしれません。
秋の明け方のうすら寒さ。また、明け方に寒さを感じる頃。
毎年、1年に1回だけ、ちらりと顔をのぞかせる "冬のご挨拶" 。
気配もそこそこに、すぐに温かさのなかに紛れ込んでしまうんです。
次に顔をのぞかせるときは、少し図々しくなっていて、"うそ寒(さむ)" なんて呼ばれます。
さて、本作品の内容については、ほかの皆さまのレビューにお任せするとして、感想をちびっといたします。
私は、筒井康隆氏の小説「七瀬ふたたび」(1975年)、NHKドラマ「タイム・トラベラー」(1972年)、実写劇場版「時をかける少女」(1983年)にリアタイで触れておりまして、ようやく半年前に本作に辿りつきました。
ようやく、というのは、私の中の「時かけ」は、火田七瀬、ケン・ソゴル、原田知世氏らがドーンと占めていて、たぶん、その存在感が大きすぎるためでしょうね。それで、本作になかなか関心が向かなかったのだろうと思います。
視聴のあとの印象としては・・・、あんまり心が動きませんでした。
あんまりというよりも、やっぱりと言う感覚でした。
"朝寒" の感覚にならなかったのは、本作が夏の盛りの設定だったためか、或いは、秋の別れに前出の作品群を思い出したためか。それとも、ジュブナイルの感性が冬枯れてきたためか。
それでも毎年、人並みに、桜並木に感謝し、入道雲に嘆息し、錦繡に息を呑み、雪の舞い散るに叱咤激励する気持ちは沸き起こるのに、本作に対しては、心がわなわなする感覚をほとんど感じえなかったのです。
とても寂しく思えました。
とても良い作品だとは思います。
皆さまのレビューがそれを語っておられます。
それでも、レビューに至らないというのは淋しいことですね。
時をかけた憧れも、朝寒のようにいつか消えてしまっていたようです。
どうしてでしょうか。よく分かりません。
ごめんなさい。★が主観に過ぎました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本作が、皆さまに愛されますように。