Progress さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
Sicilienne
夢の島に捨てられた少年トラッシュと子犬。彼らは夢の島でゴミの中から小さな宝物をさがしつづけています。
夢の島でゴミを片付ける天使、オゾン。彼女は触れたものを全て消してしまう力を持っています。
{netabare}
天使と聞いて、私達は何を思い浮かべるでしょうか?清廉、純白、信仰、純粋?
オゾンの夢の島へ来た経緯を辿れば、天使達は神様によって各地へと使わされています。
その神様に自分の純粋さを、毎日の祈りとゴミの浄化の仕事によって捧げているオゾン。
「いつか迎えに行きます」という言葉を信じて14年。
オゾンは、いつか迎えにきてくれるという希望を信じていましたが、
いつまで経っても神様が迎えに来てくれない、それはゴミがなくならないからだと、
神様への信仰を保つために人間を恨み始めています。
神様への信仰に純粋であるために、人間を恨む。
天使という清廉なイメージとは別に、オゾンの中に黒い感情が生まれています。
トラッシュが雨が降ってほしいという願いに対し、「神様は忙しいからこれない」と信仰を保つオゾンが、
あっさりと少年の願いを聞き入れた神様に対して、
十字架を消すという行動を取ってしまった時の感情は?
信頼していた存在による裏切りへの怒り。
神様に夢の島に送られた理由が、ゴミと同じように神様にいらない存在であったと感じてしまうオゾン。
怒りを抱く天使とは純白なのでしょうか?
純粋であるがゆえに、裏切りに対して許せないものがあったのでしょう。
純粋であるがゆえに人間を蔑むこともできるのでしょう。
周りから見れば天使、清廉で純白な存在であっても、心の中には、純粋ゆえの怒りが存在する。
オゾンという少女が神様という信仰を捨てた、純粋からの別れは、
盲目な少女期としての終わりを感じられました。
少年トラッシュの方にも触れましょう。
トラッシュの生活が、人間のゴミの中からお宝を探す。
母親に捨てられて必要のない人間とされた少年が、ゴミの中にお宝を探すのは、なぜでしょう?
お宝とは要らないとされた自分の中に、輝けるものを探しているのかも。
要らないとされていた少年が、神様に要らない存在とされたと思ってしまった悲しい少女を、
トラッシュの畑を見せることで、自分が必要とする存在を見つけさせることで、救い上げます。
そこには、少年がオゾンに必要とされることで、少年が救われるという幸福もあるのかもしれません。
要らないとされたものを集積させた夢の島。
信じるものに要らないとされた少女が、「夢の島にもオタカラはあるってこと」
というなら、それは自分が必要とする存在や、自らの存在の肯定を示しているのかもしれませんね。
{/netabare}