STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
愛を求めた結果が
原作は未読。
出てくるキャラは狂気をはらんだ者ばかりで、それゆえにここで描かれる数々の愛は良識や道徳を
顧みないものが多く、ある意味純愛と言えそう。
モラルといった枠組で見るとろくでもないキャラばかりなのだが、その純粋さが
見えてしまうためか、個人的にはいずれのキャラもあまり嫌いになれなかった。
ここで描かれるキャラ達の行動や心情は結構怖いものがあるが、狂っているがゆえのおかしさも
ある。なまじ絵柄が可愛いゆえに、そのギャップでより狂気を感じる側面も。
このギャップはOPやEDにも感じられるもので、OPは甘さと怖さ、EDは希望と絶望が
同居している感じ。
展開的には他のキャラに比べると比較的まともな感のある飛騨 しょうこも含め、それぞれの
幸福を求めての動きが、他者の幸福追求の障害になっていることが多く、皆が動けば動くほど
深みにはまっていく負の連鎖という感じ。
ただ状況的にはどう転んでも幸せになれない、最初から詰んでいるようなものが多く、作品とは
違う方に行ったとしてもろくな結果にならなさそう。
この幸福という点では神戸 しおにそれを求める者が多かったが、中の人である久野 美咲氏の
演技がそれを説得力のあるものにしていたように思える。
中盤の展開では同じマンション内での松坂 さとうの名義上の住所(叔母が住む)の305号室と、
実際に神戸 しおと暮らす1208号室という二つの家の存在が、他のキャラに対する隠れ蓑としても、
受け手(視聴者、読者)に対する叙述トリックとしても、ミステリー的になかなか良い効果を
あげていたような。
終盤は中心となる松坂 さとうとしおの愛に焦点を当てた一種のラブロマンスの色合いが
強くなるが、最終的にはそのさとうの愛がしおへの呪縛となるホラーテイストのなかなか怖い締め。
全体的にキャラクターの絡ませ方が上手いなという印象が強かった作品。
あとこれを書いていて、さとう役の花澤 香菜氏としお役の久野 美咲氏って、同じ事務所とは
いえ、共演作品が相当多いことに今更ながら気付いた。
2020/04/03 誤字修正、改行位置変更
2021/01/31
2021/02/14 脱字修正