四畳半愛好家 さんの感想・評価
2.9
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
立木文彦のナレーションをあまくみた結果…
原作『中間管理録トネガワ』既読。
原作カイジシリーズ既読。カイジアニメ視聴済み。
本作は『カイジ』シリーズの黒幕的大企業である帝愛グループの幹部「利根川幸雄」を主人公としたスピンオフ作品。兵藤会長のご機嫌を取りながら大勢の黒服たちを束ねていく「中間管理職」である利根川の苦悩をコミカルに描いた作品です。
原作はスピンオフに過ぎないものの、絵柄や言い回しが本家カイジに近い作品でもあり、名作とまでは言わないものの、なかなか笑える楽しいギャグマンガでした。
なので、アニメもかなり楽しみにしていたのですが…。
結論から言えば、ナレーションによって3話で断念することになりました。
多くのカイジファンだって、1話で絶望したことでしょう…。
ナレーションがお馴染みの「立木文彦」から「川平慈英」に変更されたのですから…。
カイジは心理戦が多く、自然とナレーションが目立つ作品です。
このシリーズにおける立木のナレーションは、とにかく熱い!
決して笑いを取りに行ってるわけではなく、とにかく熱く全力で演じています。そこが面白おかしいし、盛り上がりも抜群です!
私が「トネガワ」を購読していても、立木の声が確かに聞こえてくるほどです…。
そんなカイジシリーズの名脇役があっさり交代…。
因みに川平慈英の演技が悪いわけではありません。
彼は彼の味をしっかり出している。起用されたからには全力で「川平慈英」を出している。文句は言えないでしょう。
悪いのは、立木文彦の存在感を軽視した制作側でしょう。大人の事情とかもあるんでしょうが…そんなこと視聴者の知ったことじゃないですよね。
カイジシリーズのナレーションに熱さは必須です。そして川平慈英に立木文彦ばりの熱さを期待するのはあまりに酷です。
「トネガワ」の作者だって、本家と同じ立木ナレーションを期待していたはずでしょう…。しょうもない展開でも、場違いレベルの熱いナレが入ることで、カイジらしい笑いが生まれる。このギャグマンガの鍵はナレーションが握っているはずです…。
一方で川平起用は、ナレ自体をギャグにする狙いかと思いますが、それはカイジ的な笑いから大きく外れていて、私に言わせれば寒いです。
ある意味、本家カイジを観ずに本作を楽しんでいる人は、気にせず観れるのでしょう…。でも立木だったらもっともっと楽しめただろうと確信しています。
そもそも本作は、スピンオフ作品なんですから、ターゲットは当然カイジファンのはずでしょう…。そして多くのファンは立木ナレーションが好きなんです。
そうした多くの視聴者の期待を裏切り、名脇役を下げてしまった制作陣。
本作は注目度も高く、もっとヒットする可能性があった作品なだけに、この罪は重いでしょう。
たかがナレーション、されどナレーション。
立木文彦のナレーションをあまくみた結果が、大きな失敗につながるように思えてなりません。