STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
見た目以上にSFの醍醐味が味わえた
原作は未読。
当初はキャラデザイン(特にレイシア級)の印象から、SF的設定だが主体となるのは美少女
ロボットのアクションものかと思っていたが、思った以上にSFしていて、面白さも回を
重ねるたびに増していった感じ。
テーマも、人とモノ(AIを含む)との関係性についてかなり興味深い考察がなされていたし、AIの
進歩が目覚ましい現状を見るに、将来起こりうる問題かも?と思わせてくれる。
内容が内容なだけに人間とAIの会話主体の展開になってもおかしくなかったが、要所要所の
転換部分などはアクション主体になるなど、エンターテイメント性もおざなりになっていない
ところが好感が持てた。
キャラクターデザインは全体的に可愛い感じであったが、内容が内容なだけにもっとクールな
ものであっても良かったかも。
キャラに関しては人間以上にレイシア級のhIEがそれぞれ異なる行動目的を持つこともあって
印象深かったが、なんだかんだで一番印象深かったのはレイシア。
その態度や仕草が愛らしく、あざとささえ感じることも。こうした行為を劇中では
アナログハックと表現していたが、メタ的には本作品の視聴者に対してアナログハックを
行っているとも言えそう。
このレイシアだが、最初は可愛いうえに手回しの良さが頼もしくあったのだが、先読みの凄さから
次第に空恐ろしくなってくるし、真意が読めないところも怖い。
それゆえにほとんどの人がレイシアを信用しきれないのだろうが、怖さ以上にレイシアに魅力を
感じてしまったのが遠藤 アラトと言うわけで、当初は弱点のように描かれたアラトのチョロさが
最終的に成功に導いたというのが面白いところ。
このチョロいと言う表現だが、アラトと海内 遼の自身の考えをぶつけ合うシリアスな会話中に
やたら「チョロい」という言葉の応酬があるのが変におかしかった。
アラトとレイシアに関しては一応ハッピーエンドのようになっていたが、レイシアが言うように
体だけ別モノなのか、あるいは実は何者か(別のAI)がレイシアに扮していたのかは判らず、更に仮に
本物だとしても「レイシアの目的は実はまだ先があるのか?」などと色々考えてしまう。
この二人の関係性は人とモノとの恋という特異なものとして描かれていたが、本作の媒体である
アニメ、あるいは漫画やゲームのキャラクターを、創造物だと判っていながら恋しているような人が
現実では見受けられるわけで、そういったメタ的要素を包括しているような面白さもあった。
内容的には面白かったが情報量が多く、それなりにしっかり観ないと理解できない作品でも
ある。
この作品、個人的にはアニメ作品としての総合的評価はともかく、ストーリーは非常に面白く
感じられ、ネットでの感想を見るに最後まで視聴した人には概ね好評だったようであるが、
視聴した人が少なかったのか、あまり話題にならなかった印象がある。
「サクラダリセット」の放映後の状況にも似たようなものを感じたが、両作品とも初期段階で
視聴を止めてしまった人が多かったみたいで、昔以上に「序盤のつかみは重要なのでは?」と
思ってしまった。
2018/10/14
2018/10/15 誤字修正
2020/04/03 句読点位置変更
2020/05/12 追記、表現方法変更など。