oxPGx85958 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
心地よい田舎アニメ
原作のマンガは説教臭が強くて辟易した記憶があるのですが、このアニメは楽しく見られました。声優の力によるところが大きいと思います。
主人公の半田清舟を演じる小野大輔は、このありえなさそうなシチュエーションに放り込まれたありえなさそうな青年に、絶妙なバランス感覚で説得力を持たせていました。本作で初めて強く印象に残りました。
琴石なるを演じる原涼子を含めて、子役たちがいいのは言うまでもない。本作のようなシリアスな作品では、子供の役を子供が演じて初めてスタートラインに立てるのだと思います。
山村美和を演じた古木のぞみは、自ら五島列島出身で方言指導も行ったらしく、さすがに方言を使ったセリフ回しに現実感がありました。現地の方言を知らない私は、本作で使われている方言がどれほど本物に近いのかを判定できませんが、作品世界の現実味にどれほど貢献しているか、というていどの意味として(なおこのキャラクターは中学二年生なので、同じ年頃の子役が演じるという方針もありえたとは思います)。
そして本作の最大の問題は、こういった「普通のアニメ」にはないリアリスティックな要素がうまく機能していたせいで、「普通のアニメ」的な要素の違和感が強調されていたことだと思ったわけです。
端的に言うと、離島での生活の描写と比べて、東京の描写、主人公の東京での知人たちの描写がアニメっぽく薄っぺらく感じられる。いやもちろん離島での生活もアニメだし、むしろゴテゴテの田舎アニメ文法なわけで、ここには私が離島・田舎に抱いているオリエンタリズム的なロマンティシズムが働いているということは百も承知。