ツークツワンク さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
世界観と設定が秀逸
現代社会が古代文明となった千年後の世界
同時期のアニメにはサイコパスやNo.6といったディストピアものが放送されていたがこれもその一つで管理社会が舞台
独特の世界観や雰囲気で人を選ぶ作品なので合わない人には全く合わない作品
バケネズミ、風船犬、不浄猫、ミノシロといった独特のクリーチャー
橋本・アッペルバウム症候群、ラーマン・クロギウス症候群といった用語による密度の濃い世界観の構築はさすが貴志祐介さんといったところでしょうか
核兵器並の力を手に入れた人間が少数でも現れた時、社会はどうなるかといった話は異能力や超能力バトルものの社会形成や世界観構築の上でも問題であり、この作品はそこにリアルな視点を取り入れることでどう抑制するかといった話が基礎となります
ただ早季やその周辺の人間も世界観のただのパーツに組み込まれてしまい、人間ドラマと言った点ではあまり評価できないかもしれません
ホラーとしては
序盤の同級生が消失する恐怖、中盤の社会から抹消されるかもしれない恐怖、終盤の悪鬼に襲われる恐怖と言った三段階で話が分けられます
色々書きたいことはあるのですが、書くとしたらやはりスクィーラですね
彼は家畜以下の扱いから脱却するため革命を起こすのですが、
結果としてそれが徹底的に管理されたディストピア社会を肯定することになるのは皮肉なものでした
裁判で「私は人間だ!」と言った後に嘲笑される場面は良い意味で後味が悪い場面です
早季は人間扱いしようと思ってはいますがそれは表面上なんですよね
最後にスクィーラを焼却する場面でも攻撃抑制の影響を受けないで平然と燃やしてます
アニメでは奇狼丸を捨てゴマにする様に見えるのもムシャクシャすると思います
その点、覚の方がリアリストというか割り切っている感じがして共感できます
序盤中盤の人間ドラマが正直退屈だったのですがエンディングで新世界よりを流されながら、今までの登場人物が浮かぶ場面ではじんわりと感じ、心に苦さと爽快感が残るアニメでした