ダリア さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.0
キャラ : 2.0
状態:今観てる
1話と昨今のなろう原産作品についての考察、マンガ版のススメ
つまらない。
何故そう感じたかに関しては割と説明の付くところで、小説家になろうという発表媒体は漫画やアニメと違って、引きや次回予告が必要ないんですよね。作品を思い付くままダラっと垂れ流しで公開できる。ここからここまで、という制約のない媒体は展開にメリハリが付きにくく、それでも読者が離れない。だから最初はつまらないけど加速度的に面白くなる作品でも許される。
しかしアニメーションではそうもいかない。特に1話では強くそう感じました。
死亡→転生→友人獲得で1話終了。漫画ではスーっと読み飛ばせた場面をゆっくり描写されるのは地味にキツい。想像よりも作画は良いし、ヒットを想定して結構予算を割いて大事に作っているのは随所で感じられます。テンポも頑張ってました。しかしそれを帳消しにするくらい、とにかく原作の序盤の展開が悪い。
誰もが適当に読み飛ばすところを丁寧に映像化してるんだからしょうがないよな、と思いつつ、自分のようなコミカライズ既読組以外は1話切りしてもしょうがないよなという1話でした。これから面白くなるよーっつって引き延ばされるぐらいなら1話から面白い他のアニメ観るわ。
ちなみに、この作品はなろう産商業作品ではよくあるパターン、優れたストーリーテリングに原作者の実力が追い付いていないパターンです。原作者は何の素養もない素人なんで考えてみれば当然なんですけど、要は「美味しいパンを作れるのに店の立地も広告も悪いパン屋」なんですよ。店の立地は地の文等の文章力、広告はそのままの意味で変換してください。
面白い作品を作れる、描ける、これは素人でもまま居る。しかしそれを料理するための技術、文章力がない。文章を読めマジで。しかしこの問題は近年解決します。インターネットに文章を読みに来る人間の大多数は文章力など気にしない、普段文章に馴染みのない人達。無料で公開されている媒体であるからこそ、作者読者両方の質が大きく低下し、近年のなろうブームは成り立っています。
素人なので作品に対して大きくプロモーションが打てない。この問題はなろうの運営会社、ヒナプロジェクトが作品を青田買いする形で大手出版社と書籍化する事で解決します。どうでもいいけど有能イラストレーターをゴミみたいななろう作品に充てるのマジでやめてほしい。なんか箔が落ちる。
つまり素人作品の粗を他が補う形で、粗悪品が世に粗製乱造される仕組みは成り立っているわけです。極めて宗教的、少数の作者を神と崇める教信者によって成り立つビジネスモデルのため、アニメという大多数に無料で視聴される媒体に公開されると一般視聴層に叩かれるわけです。いくら客が入ってても下町の定食屋が渋谷にいきなり店出せるわけないよな、めっちゃ井の中の蛙。
まあここまでクソ程叩いてきましたが、この作品はその粗製乱造群の中でも普通に面白い方だと思います。ただ読むに堪えない程酷い文章なので、もし触れるならコミカライズ版を強く推奨します。
コミカライズ版はゴミみたいな文章、テンポの悪すぎる進行を川上泰樹大先生が全てカバーし、画力よしテンポよしで読みやすい良作に昇華させています。原作者は川上泰樹先生にマジで感謝すべき。そういうレベル。普通に漫画版最新刊まで読破してしまった。面白い。
なろう産の悪いところを全て削り、面白いところだけ切り取った良作漫画なので1巻だけでも是非、お手に取って頂きたい。なんのレビューなんだコレは。