oneandonly さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
その世界をなかったことにしてはならない
世界観:7
ストーリー:6
リアリティ:4
キャラクター:7
情感:6
合計:30
いくつもの世界線を巡る無限の彷徨。その過酷な旅の中で、岡部は紅莉栖を死の運命から救い出すことを、ついに諦めた。
そして、再び大学に通い始めた彼は、平凡な日常に埋没していく。それでも心の傷を癒しきれず、メンタルクリニックへの通院を続ける岡部の中で、いつしか白衣をまとった「鳳凰院凶真」の顔は封印されていた。
(公式サイトより)
視聴の理由は、傑作だった1期の続編と思ったこと(実際には続編ではなかったのだが)。1期は{netabare}序盤に苦戦しつつも、伏線回収の仕方や最後の最後で究極の選択を迫られる展開、そしてハッピーエンドへと、なかなかのストーリーの転がし方で、岡部の中二病(現実にいないだろ)キャラに対する感情をも前向きなものへ変化させる{/netabare}凄い作品でしたからね。
さて、本作は紅莉栖を救えなかったβ世界線の話。
比屋定さんとか、レスキネン教授とか、新キャラもしっかりと存在感を出していたし、{netabare}19話からようやく本領を発揮してきました。未来のダルが恰好良かったり、前作を想起させる終盤での岡部の復活、「エル・プサイ・コングルゥ」には胸アツでした。{/netabare}
一方で、1期から共通する基本的な疑問にも立ち返ってしまいました。
{netabare}1期のレビューでも書きましたが、タイムマシンを使った物語は、タイムパラドックスに関する整理が求められます。
例えば、バックトゥザフューチャーで自分の両親の出会いを妨げてしまった結果、自分の存在が薄くなっていくような、世界を1つしかないと考えるものと、過去に戻って自分のいた未来に影響を与えても、世界が異なるので問題ないとするパラレルワールドを想定するものの2パターンに大別されます。
(シュタゲは、同じ世界に同じ人物が一定時間以上留まることができないような話もあるようだが、一応後者であると考えられ、主人公の岡部は複数の世界線を行き来しても記憶をとどめられる=リーディングシュタイナーという設定により物語が成り立っている)
パラレルワールド的世界の場合、主人公がいかに未来を望ましいものに変化させる行動を採り、最終的にシュタインズゲート世界線(2人とも死なない世界線)に辿り着いたとしても、その世界線にいる岡部以外の岡部は救われていません。都合の良いところだけを切り取ったお話になります。
1期の時もそのことを指摘して、自分の理解が足りていないかもと補足していましたが、本作でそれが証明されたということですよね。紅莉栖を救えない世界線も消えることなく残っていて、岡部はそこでも頑張っていたと。
最終話まで見て、1期の更なる肉付けをするための物語だったことが明確になりましたが、例えば、オペレーション・スクルドの撮影にしても、その映像を作る彼らに、過去の岡部がそれを見て、シュタインズゲート世界線に行けるかどうかはわからないし、彼らに何のメリットがあるのだろう、と考えてしまうのです。
他の世界もなかったことにしない点は評価したいのですが、1期に2期の伏線があるとも言えないので、シュタインズゲート世界線に辿り着いた物語を既に見ている私にとってはあってもなくても良い物語と思いました。
更なる伏線と言うのであれば、1期の23話にまゆしぃが電話を受けるシーンを入れておくとか、2期に登場するキャラクターを出しておくとかしておいてほしい。
そしてやはり疑問が晴れない、鈴羽が過去に戻ってきた意図(1期の感想を参照ください)。
未来世界で活躍するラボメンやタイムマシン争奪戦争の開始となる屋上シーンなどにも、違和感(民間人が訓練された武装組織と戦って無事で済むと思えない)。
タイムリープものでは期待が大きくなってしまうのですが、電話レンジ(仮)を使ったタイムリープを膨大な回数繰り返した演出もあっさりで、回数分の重みを感じなかったこと(他の世界線を知っているからこそ引き立った展開は、ブラウン氏との会話くらいだったような)。{/netabare}
上記のように惜しいと思う部分が多い作品でした。4点台で評価した他の作品とのバランスを考えて、このくらいの評価で。
(参考評価推移:3話3.9→5話3.8→6話3.9→8話3.8→13話3.7→15話3.8→17話3.7→19話4.1→20話3.9→21話4.0→22~23話3.9→調整3.8)
(視聴2018.7~10)