buon さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
なくして新しいものを見つけにいく苦行とあそび
心が折れてから続けるのはなかなか大変だ。
ただ続けるならできなくもないが
前に進む、上を向いて歩むのはなかな骨が折れる。
背骨と手足の指の骨とあばらを差し出しても足りないかも知れない。
スポーツにしろ、勉強にしろ、仕事にしろ、ね。
色々スポーツしたことあるが
本気でやって負けたり劣っている現実を突きつけられるのはツライものだ。
残念ながら底辺の戦い
あるいは底辺×中より上の戦いしかしたことないので、
何年も続けて高い所で戦って負けて、打ちのめされたことはない。
ただ想像に難くない
積み上げたものが崩れ落ち、失われた瞬間の衝撃を、恐怖を。
失って、見失ってしまった少女ふたりが主人公だ。
この作品は一から積み上げていくスポ根ではなく、
アスリートとして高みにいる人たちの戦いだ。
完成とまでもいかないが、能力としての個性がすでに出来上がっている。
なので成長は精神面に焦点が当てられている。
売りとしては精神面の成長とバドミントンの戦いの美しい映像とそのアツさだろう。
しかし、精神の負の側面が非常にアクが強く、
それにまつわる物語が重々しい。
そこには爽やかなスポーツが影を潜んでいる。
能力としてではなく人間としての成長の煌きが試合に詰まっている。
高みにいるものの戦いと書いたものですが、
それ以外の存在の話も面白い。
一つは負けた者の話。
もう一つはコーチの話。
試合をすれば必ず負ける者が現れる。
しかし、負けた者が努力を惜しんだとは限らない。
血の滲むような努力に見えなくても
本人にとって簡単なことではないことは山ほどある。
コーチは試合に出られないが
コートの上にいる選手にその言葉が届くことがある。
その影響は決して小さなものではない。
これらも魅力だろう。
日常や彼女らの人間関係は黒く苦々しいものが少なくない。
それでも私は好きです。