World さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ファンタジー作品の最高傑作
過去2度視聴しました。今回もう一度通して視聴したので、今更ながらレビューを。
今作は、fate/staynightのスピンオフであり、いわゆる過去回想を膨らませた作品になっています。
その点において評価したいのは、意外性を常に感じることが出来たということです。
繰り返しますが、過去回想作品ですので、あくまでも出口が決まっています。
なので、普通はそこに至る筋書きはある程度予測を付けることが可能なので、予定調和な空気を感じてしまいます。
どうしても、ここに繋げたかったからこういった展開にしたんだなと感じてしまう点が出てきます。
ですが、この作品は全くそれを感じさせません。
次々と物語が新しい方向へと展開されていき、飽きる事がありません。
そして、出口に無理やり繋いだと感じることもありません。
これは、とんでもない事だと思います。
設定やキャラクターの人格、時系列等がガッチリと決められている、ほとんど自由に出来るスペースが無い状態から、物語をどんどん広げていって、最終的には決められたエンドへと繋げていく。
もはやこれは、妄想や空想の域だと思います。
皆さんも、妄想するとき、重要な部分だけを頭の中に描きませんか?
魅力ある設定、カッコいい台詞、感動の名シーン等々。
でも、よくよく思い返すと、細かいところで全く整合性がとれていない。みたいな。
今作は、まるでそれを筋道立てて物語にしているかのようです。
まさしく天才的なセンスです。素晴らしいです。
上記に関連してですが、キャラクターがとても良いです。
この作品の製作者は良い意味で、なんでもないような言葉を名言に見せるのがとても上手いです。
この特徴が如実に現れているシーンが、聖杯問答です。
簡略すると、セイバーは、王たるは正しく生きるべしと語り、ライダーは、王たるは欲望に忠実たれと説いています。
これを文章に起こすと、全くもってセイバーの論調の方が正しいように感じます。
ですが、言葉回しや演出によって、ライダーの論調が説得力のあるものへとすり替えられています。
これがとても重要で、実際fate/zeroの中で名シーンや名台詞と呼ばれる所を切り取ると、実はたいした事を言ってなかったり、大層な事は何も成し遂げていなかったりします。
これが、素晴らしいんです。
本来、何話も重ねてようやく産み出せるような名シーンを、ポンポンと出せるので、よりストーリーに重みを持たせることが出来ています。
そして、それを成す事が出来るのは、キャラクターが全くぶれないから。
そのキャラがそれ言うか?と感じることが全くありません。
その分説得力も増します。
なのでそれに加えて、全てのキャラクターにおいて、不快感を感じることがありません。
特に言峰綺礼や、間桐雁夜に対しては、普通は嫌悪感を抱くと思うのですが、台詞回しのセンスで上手くそれっぽく見せています。
キャラそれぞれに意義があることを演出出来ています。
アニメに限らず、全ての物語において、理想的なキャラクター構成だと思います。
最後に、これはもう書くまでもありませんが、作画と音楽。
大変素晴らしいです。
映像においては、もはやそこらへんの劇場版アニメを軽く凌駕するクオリティです。
CG描写についても全く違和感無く、まさに感服してしまう出来です。
音楽も、作品の特徴やテーマにとてもマッチしていて、素晴らしいです。
特にOP.ED曲は、その曲が流れただけで空気が変わるのを感じることが出来るほどです。
長々と書きましたが、これだけ書いてもまだ魅力を書ききれない程の圧倒的なクオリティ、まさしくファンタジー作品の最高傑作です。
同ジャンルで、この作品を越えるような物が出てくることを期待します。