World さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
変わらない為に、変わり続ける
今更ながらレビューを。
タイトルにも書きましたが、人間は、変えたくないから変わり続けなければなりません。
信念を貫き通したいからこそ、回り道をしなければなりません。
歌や小説なんかでも良く出てくるフレーズですよね。
一人で生きていけない以上は、どこかしらで変わっていか無くてはならない。そんなメッセージがバンバン伝わってくるアニメです。
まず、素晴らしい点は心理描写です。
この作品は、ロボットアニメだというのに人間の在り方をテーマにしています。
それは分かりやすい正義だとか、友情といったものではなく、移り行く人間の心情そのものです。
作品内で導き出される答えは、それほど目新しいものではないのですが、それに至るまでの過程が大変濃いものとなっています。
その為、結末自体は考えうるものでも、見ていて考えさせられる内容になっています。
喜怒哀楽全て感じることが出来ました。
そして、上記と同じくらい素晴らしいのは、キャラクターです。
王道バトルアニメの主人公をスポーツ選手に例えるなら、ルルーシュはサラリーマンです。
確固たる信念があり、それを表に出し結果を出すのではなく、局面局面でゆらゆらと心情を変化させながら、人間性を使い分けて成功していく。
それが、個人的にはとても好きです。
基本的にルルーシュやスザクは、自分の欲望という物が無いんです。
自分の行動に自分が欠如しているんです。
ナナリーを助けたいとか、平和にしたいとか、仲間を助けたいとか…
自分の欲が欠如した人間って、聞こえは良いんですけど、周りから見るととっても嫌な奴に見えるんですよね。
何を考えているのか分からないし、八方美人に見られるし、嘘つきだと思われる。
自分と接している間は、幸せでいてほしい。自分と関わりがある人は、幸福であってほしい。
でもこれまた冷たい奴だと思われるんですよね。
今関わっている人優先ですから、心許せる友人っていなくなるんですよね。
でも、それを仮面を使って乗り越えていく。
それが凄い爽快でしたね。
なんだか、普段評価されていない人、能力があるのに陽の目を浴びない人が拍手喝采で迎えられてる感覚になります。
そして、人間の素晴らしさを感じることが出来るのも魅力ですね。
この作品は、裏切りの連続で、利用して利用されるの繰り返しです。
でも、悪者が殆ど出てこないんですよね。
結局、一人一人の信念があって、それに乗っ取って行動しているので、見ていて清々しいです。
あぁ、なんだかんだあったけど、結局人間っていいなって思えます。
魅力はまだまだありますが、とにかく絶対に見ておくべき作品です。
ロボットアレルギーのある私でも最後まで見れたので、苦手な人でも見てみて下さい。
何で食わず嫌いしてたんだろうってなると思いますよ。