World さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 1.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
やはりこうなるか…非常に残念。
設定が画期的な作品ほど、徐々に整合性が取れなくなっていくものだが、このシリーズも例に漏れる事無く廃退の一途を辿ってしまった。
そもそも、アインズの目的は、他のユグドラシルプレイヤー(特にクランメンバー)と接触する事。その為に認知される為に有名になる様行動している。
そして、ナザリックを守る事。それに伴い、ナザリック主人として相応しい振る舞いを演じている。
そして、冒険者モモンとして冒険者ギルドに加入した理由は、平和的支配に必要だから(デミウルゴス談)。
の、はずなのだが…
平和的支配…ですか。どう考えても恐怖による支配だろう。
どうやら、民間人を殺したり、不当な扱いを受けさせなければ恐怖による支配とは言わないと、制作者は本気で考えているようだ。
てっきり私は、アインズはあくまでも悪役を演じながら裏を一つ一つ抑えていき、表ではモモンがそれらをいなしていって、ヤラセプレイをしながら徐々に勢力と信頼感を得ていくのが、平和的支配のやり方だと思っていた。
というか、そうであって欲しかった。非常に残念。
そして…
モモンが統治の責任者になることで、市民の恐怖感情が抑えられると作中で語られているが…本気で言っているの?と思ってしまった。
7万人一瞬で殺せて、かつ化け物を何体も使役出来る存在。そしてそれは兵士の生き残りから国民全員へ伝わっているだろう。
そんなバケモノ、アインズが我が国に下れと言っている。
これが恐怖による支配でなければ、果たして何なのだろうか。
更に、モモンがアインズに認知されているという状況になってしまった為、モモンはストーリーの不都合な部分を矯正するだけの装置に成り下がってしまった。
役割は元からそうなのだろうが、モモンとしてのアインズの魅力はがた落ちだ。
更に残念な点。キャラクターだ。
中盤以降、特に王国サイドのキャラが自発的に動いているのではなく、ただただ矛盾しないように、大筋からぶれないようにと、制作者が動かしているのが見ていてバレバレだった。
これではキャラに感情移入など出来るはずがない。
物語を進める為に都合の良いようにキャラが動いているのではなく、キャラ一人一人の個性や感性によって動いていると感じることが出来なければ、もはやただの人形。人間味が全く感じられなくなってしまう。
全体的に、語るに落ちてる。
見て悟らせたり、物語の輪郭が掴めそうで掴めない様な感覚が、見ていてまるで感じられない。
視聴者に対して必要な説明は全部キャラに言わせて整合性を取っても、魅力を感じることが出来ない。
確かに、矛盾はしていない。物語の軸そのものは、ぶれてはいない。
だが、それに至る過程は、非常に残念だった。
加えて、作画が酷い。
大虐殺は、最も絶望感を感じさせなければいけない場面だろう。
なんだあれは。ドミノ倒しか?
ガゼフとのPVPもお粗末。一瞬で殺すのは原作でもそうだったのだろうが、あの演出はなんだ?
一瞬で殺すにせよ、魅せ方があるだろう。虫を殺すかのような演出に、残念というより腹立たしさすら覚えるレベル。
そして、クライムとブレインの反応。あれは何だ?
身近な人間が死んだよな?なんだ?あの他人行儀な振る舞いは。
違和感しか感じない。もっとやり方があっただろう。
全体を通して、期待が大きかった分、非常に残念に感じた。
ただ、まだ根幹が崩壊する程破綻はしていない。なので、今後続編が製作されるのであれば、挽回して頂きたいと思う。
設定面等、魅力的な部分はまだまだ多数残しているので。
巻き返しの続編に期待。