World さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
斬新な設定と残念な畳み方
タイトルの通り、設定がかなり斬新ですね。異世界ものでも、自由に行き来出来るという点や、自衛隊という超規律組織が物語の主軸という点。
特に後者はかなり斬新でした。異世界ものというと、あたふたする→知識を得る→現代知識を利用して無双する→物語を畳んでいく というのが典型的な流れなんですが、この作品は違います。なにしろ自衛隊ですから、全て規律的に行われていきます。
ここで重要なのが、主人公伊丹の性格と生い立ちですね。彼が規律にはまらない行動を次々に起こし、周りも巻き込んでストーリーが進んでいきます。伊丹が規律に忠実だったり、妙に頭がキレる設定だったら、ただただ自衛隊が無双して終わりのつまらないストーリーだったと思います。
設定面は大変満足です。
おいおい、とツッコミを入れたくなる所も多々有りますが、作品の特性上仕方がないと思います。
次に、キャラクターですが、登場人物が多い分、主人公以外はかなり浅い部分しか描かれていませんでした。又、これは意図しての部分が大きいと思いますが、この作品は命に対しての心理描写が殆ど描かれません。
おそらく善悪の定義を考えるとこの作品は楽しむことが出来ないので、あえて描かなかったのかなと思います。
なので、キャラクターの表面的な魅力は十分にあるのですが、愛着が湧く程では無かったです。性質上仕方ないと思います。
次に気になった点ですが、やはり物語の畳み方ですね。
上に書いた通り、この作品は善悪の概念や命を奪うことに関しての葛藤等の描写は殆どありません。
ハリウッドアクション映画をイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。バシバシ殺しますが、それは正義!といった感じですね。主人公側は正義で、敵は絶対的な悪として描かれています。
それはそういうものだとして見れば良いのですが…
ハリウッドアクション映画って、主人公が悪役を爽快に倒すから面白いじゃないですか。その準備として、悪役は酷いことを散々するわけじゃないですか。
なのに、この作品は敵役のやられ方がどうにもスッキリしないものでした。
内面の描写を極力省くなら、ラストはしっかりやっつけてハッピーエンド!じゃないと、見てる方としては納得出来ないんですよね…
せっかく悪役がやられる時のスカッと感を増大させるために、コツコツ悪いイメージを定着させたのに… え?それで終わりなの? という感じでしたね。
特に。ネタバレになるので伏せますが、今回の元凶の人物に、悪行の免罪符を与えているような描写は必要なかったのかなと思います。
心理描写を省いた分、そこはきっちりやっつけて終了で良かったと思います。
まぁ、原作を読んでいないので、それが今後のストーリーの伏線になっているのかは分かりませんが…
設定が斬新な作品にありがちですが、少しまとまりが悪かったかなという印象です。
悪い部分を多く書きましたが、全体で見ると良い作品であるのは間違い無いです。
名作の域までは行きませんが、良作であるのは間違いないです。
過度な期待をしなければ、十分に楽しめる作品だと思います!