fuushin さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
花の湯温泉、春の屋さん!お〜い、時間ですよ!
普段は、事前情報を入れずに劇場に行くのですが、
今回は、かつてなく半分青い気分での鑑賞でした。
それに、大方のお客さんは女子小・中学生でしょ。
りぼん、キラピチ、ニコ☆プチ、JSガールの世界。
ブルーなんだけど、ピンキーな空気感にたっぷり包まれてきました。♡
こほん、さて、と。
第一印象は、起承転結の脚本がしっかりとしていることです。
それでいて、12歳前後の知識なら十分に理解できることです。
12歳のあどけなさと、若おかみの初々しさがあいまって
エピソード毎に、視聴者の心をぎゅうっと鷲摑みにしてきます。
あたかも、おっこと花の湯温泉を縦横無尽に走り回るようです。
だからでしょうか。ウリ坊、美夜ちゃん、鈴鬼くん、真月さんにも
ぐっと親近感が増してくるし、頼りにしたくもなります。
同じ世代、似た境遇の女の子は、夢が膨らむでしょうね。
支えてもらえれば、私もがんばっていける!って、
きっとそう思えるはず。
寂しい子は、{netabare} みんな春の屋に来ちゃえばいい!
ユーレイだって、鬼だって、独りぼっちは寂しいんだ。
いっしょのほうが、寂しくないもんね! {/netabare}
とは、おっこのことば。
誰とでも、つながれるきっかけが作れるおっこの秘密は、
若おかみとしての責任感。でも、それは寂しさの裏返し。
おっこの心理描写は、視聴者の年齢層に合わせてあって
そんなに深めてはないけれど、そこがいいなと思います。
大人なら、悔恨とか未練とかいう言葉で、思いを切り分けて
ゆっくりじんわり、収斂させていくのかもしれないけれど、
おっこには、そんなテクニックは、まだ難しいでしょうね。
だから、おっこは、グッと踏ん張って、いつだって全力疾走。
言葉と気持ちと行動が、いつも一緒なのがおっこの持ち味。
そこがいいんだと思います。
物語は、おっこの春の屋に、3組のお客さんがやってくるんです。
あかねさん。
水領(すいりょう)さん。
木瀬さん。
このお客さんのエピソードが、程よいアクセントになっています。
おっこの喜怒哀楽が詰まった、春の屋ならでは深い味つけです。
おっこが若おかみになってから、一番変わったのって、
ご両親と自分だけで100%だったときとは違っていて
お客様といろんな人たちも加えて、100%になっているってことなんじゃないかな。
それはつまり、おっこの時間の密度が濃くなったっていうことなんじゃないかな。
おっこは、余裕もなにもなくってぶっつけ本番の毎日だし、
ドタバタでおっちょこちょいなんだけれど、
ウリ坊や美陽ちゃんや鈴鬼くん、そして真月さんが
いっしょうけんめいにサポートしてくれるおかげで、
若おかみの振る舞いの中に、余裕が生まれてきたみたい。
それって、ゆとりってことだよね。
気持ちにゆとりが生まれれば、あせりのかわりに伸びしろができる。
伸びしろが生まれたら、少しだけ先が見えてくる。楽しく思えてくる。
そうしたおっこのポテンシャルって、たぶんもっと高くって、
同じ世代の、千尋やシータやキキが隣にいても、負けてない。
いい雰囲気でやれてるんじゃないかなって夢見てしまいます。
私が一番うれしかったのは、おっこが {netabare} 真月さんと神楽を舞ったこと。
そこに、{netabare} ウリ坊と美夜ちゃんも一緒に舞うことが{/netabare} できたこと。
本当に、美しくて、喜びに満ち溢れているような神楽舞 {/netabare} でした。
わずか数分の神楽舞の場面なのですが、私には一番印象的で、お気に入り。大好きなシーンになりました。
若おかみは小学生!って、TV放送で知った人が多いと思うんだけど、(わたしもその口なんですけどね)
ちょっと調べてみたら、凄いことになっていました。
小学中級から、青い鳥文庫(全20巻。300万部超の大ベストセラー)
同じ文庫版は、電子版としても配信中。
一般向けで、講談社文庫。(これがアニメ映画の劇場版原作)。
2歳以上で、ゴールド絵本(16ページ)。
6歳から小学校低学年のアニメ絵本(112ページ)。
とまあ、一気呵成の "大人気 児童文学" なんですね。
この作品で、世界に出るなんて、ステキなことだと思います。
いや、本当に子ども向けではありますが、見どころ満載。
飽きることはないと思います。私はとっても満足いたしました。
さぁ、おっこみたいにがんばってみよう!
そんなふうにも思える良作ですよ。
長文を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本作が、皆様に愛されますように。