こまたち さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
終わりよければすべて良し…な訳ないでしょ?
2018年放送。シュタインズ・ゲートの正統続編
全23話
原作ゲームはプレイ済み。その立場から感想を書きます。
まず全体的な出来としては「劣」の評価。ただし、作画・音楽・声優等、作品の細部については前作の良さを踏襲しつつ、本作でも前作と同等の高いクオリティに仕上がっています。問題はシナリオの悪さ。原作と前作、その良さをほぼすべて消し去ったアニメ化に何の意味があるのだろうか?
物語を起・承・転・結に分けて考えると、起と結に関してはかなり良い出来栄え。特に終わり方はアニメオリジナルながら、原作の良さを消さずまた酷い構成の中盤シナリオを上手にまとめきっとものだなと感心しました。
で、酷いのは承と転に当たる部分。話数カウントにして18つ分。シナリオのほぼすべての部分において粗雑で退屈で陰鬱なものを見せられていたわけです。いつもならこういった作品の物語の評価点は★2ぐらいを付けているところですが、土台のしっかりした前作および本作の原作のおかげか、一応”身”のあるものではあったため★3.5に落ち着きました。
中盤のシナリオの劣悪さの原因は原作の各ヒロインの√から時系列順に話を抽出して、(無理やり)繋ぎ合わせたことでしょうね。2クール放送しきるためにわざと間延びさせたような感じがしてとても不快でした。寄り道ばっかりでだらだらと延々に…。原作プレイ済みでもなにやっているか分からない部分はいくつかありました。視聴者をおいてけぼりにするスタイルと言いますか。いつ核心に触れるんだよって何度心の中で思ったことか。とにかく退屈な時間が長かった印象です。
おそらく原作と共通して最も熱いシーンの1つにキョウマの復活が挙げられると思いますが、これもまた微妙。原作で酷く感動した部分であったのにアニメではその道筋が粗雑に描かれており、さも岡部が唐突に覚醒したようにしか見えなかったのが残念でなりません。
個人的にはクリス√を中心にしてアニオリで展開で補う感じでアニメ化してほしかったなと。できもしないのに全ヒロインの√を無理やり混ぜ込むな、終わらせ方ばっかりに気をとられて物語の過程の描写を粗雑にするなと言いたい。これが炎上商法ならもう何も言わないけどね。
以上。
余談だが、よくよくシュタゲについて考えると『岡部がいい人生を歩むために全ヒロインと仲間が岡部の為に死力を尽くす作品』だよね?岡部が世界線を移動してところで移動元の世界線はそれからも続くわけで…。そう考えるとシュタゲの登場人物って実に人間味がないよね。ちょうど新興宗教の教祖と盲信者みたいな関係性というか。初めて無印シュタゲを見たときはそれはもう感動の嵐だったけど、今改めてよくよく考えてみると視点誘導が妙だっただけの作品なのかもしれない。ただなんにせよ岡部に人間的な魅力は溢れていることは今も昔も揺るがなくそう思えるので、その部分が丸々作品の高評価につながっています。